ニュース News

大坂が新たな歴史を作る。スポーツエージェンシー設立へ

「WTA1000 インディアンウェルズ」会場での大坂

大坂なおみ(日本/フリー)が、大手スポーツマネジメント会社IMGを離れて自身のスポーツエージェンシーを開設することがわかった。米スポーツメディア ESPNなど複数のメディアが報じている。

このニュースを最初に報じたデジタルスポーツメディアのSportico によると、2021年末にIMGとの契約が満了した大坂は、同社との契約を更新せず、代わりにIMGの元エージェントであるスチュアート・デュギッド氏とともに、スポーツエージェンシーのEVOLVEを設立するために独立したという。Sportico宛てのメールの中で、4度のグランドスラム優勝を誇る大坂は次のように話している。

「周囲が期待していることではないとか、従来通りのことではないと言われても、私は常に自分のやり方でキャリアを積んできました。EVOLVEはアスリートであり、またビジネスウーマンでもある私にとって、次のステップとして自然な流れであり、これからも自分らしく、自分のやり方で物事を進めていく手段だと思っています」

「ビジネスパートナーのスチュアートと一緒にこの会社を始めることをとても楽しみにしています。これまでにも私は嘘偽りなく、戦略的に自分のビジネスを構築してきました。それと同じアプローチをこの会社のビジョンにする予定です。私はアスリートが私たちのプラットフォームを活用して有意義なビジネスを推進できる力を強く信じており、新しいエージェンシーを通して、スポーツや広範な文化の中に今なお存在する障壁を打破する最前線に立ちたいと考えています」

EVOLVEはブランドパートナーシップ、投資、アスリートが経営するビジネスの創出、慈善活動に焦点を当てた多面的なエージェンシーとして、スポーツ界の変化に対応し、アスリートが新しい道を切り開き、新しいことに挑戦し、自らビジネスを構築することを支援する会社であると打ち出している。これは大坂が成し遂げてきたことを反映した方針と言える。「私はテニスという競技の枠にとらわれることなく、スポーツの枠を超え、活動家、ビジネスウーマン、慈善家として、常に境界線を押し広げようとしてきました」と話す大坂は、その言葉通り、コート上での成功をもとに、様々なビジネスを立ち上げるだけでなく、人種差別からメンタルヘルスに至るまで、多岐にわたる活動を通して積極的に意見を主張してきた。

24歳の大坂はこのレベルの女性アスリートとして初めて、ビジネス活動の全権を握ってエージェンシーを設立する選手となり、また一つ新たな境地を切り開いたことになる。

大坂とデュギッド氏は7年間のパートナーシップの中でナイキ、日産、パナソニック、ヨネックス、マスターカード、リーバイス、ルイ・ヴィトン、タグ・ホイヤーといった世界的なブランドとパートナーシップを結び、大坂は最も収入の多い女性アスリートの一人となった。二人は2021年にスキンケアラインのKinlóを立ち上げたほか、水着や寝間着の商品ラインナップも展開。健康志向のファストフードやメンタルヘルスに関わる企業など、数多くの事業にも出資している。

Sporticoが先日発表した、世界で最も稼いだアスリート100人の2022年度リストによると、大坂は20位にランクインし、スポンサーシップ料などのエンドースメントだけでも5200万ドル(約67億5000万円)以上を稼いだという。同リストの中でテニス選手としては8位につけたロジャー・フェデラー(スイス)に次いで2番目となり、大坂以外でトップ100に入った女性アスリートは、は52位につけたセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)だけとなる。

Sportico とのインタビューに応じたデュギッド氏は、EVOLVEは今後、大坂のほかにも何人かのクライアントの追加を検討する可能性があり、目標は年商1億5000万ドル(約195億円)のビジネスに成長させることだと明かした。「今のアスリートたちはビジネスの世界における可能性を完全に変えてしまった。彼らはもはや雇われたブランドアンバサダーではなく、企業にとって真のパートナーであり、発信力を有し、文化を変える存在だ」とコメントしている。

※為替レートは2022年5月12日時点

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は「WTA1000 インディアンウェルズ」会場での大坂
(Photo by Robert Prange/Getty Images)

WOWOWテニスワールド編集部

WOWOWテニスワールド編集部

facebook twitter

速報や最新ニュース、グランドスラム、ATP、WTAなどの大会日程と試合結果情報など、テニスのすべてをお届けします!

WOWOWテニスワールド

  1. Home
  2. ニュース
  3. 大坂が新たな歴史を作る。スポーツエージェンシー設立へ