パンデミック以降、大会出場回数が大幅に減ってキャリアハイの世界ランキング13位から現在は94位まで落ち込んでいるテニス界の「悪童」、ニック・キリオス(オーストラリア)。だが3月からの「ATP1000 インディアンウェルズ」、「ATP1000 マイアミ」ではそれぞれベスト8とベスト16に進出という結果を残し、調子は悪くないようだ。今週からあまり得意ではないクレーコートシーズンに臨むキリオスについて、ATP(男子プロテニス協会)公式ウェブサイトなどが報じている。
キリオスは今、「ATP250 ヒューストン」(アメリカ・ヒューストン/4月4日~4月10日/クレーコート)にワイルドカード(主催者推薦枠)で出場中だ。現地5日に行われた1回戦では、世界52位のマッケンジー・マクドナルド(アメリカ)に4-6、6-3、6-4で逆転勝利。キリオスがクレーの大会に出場したのは2019年のローマ大会以来、ほぼ3年ぶりだった。
「もちろんクレーはあまり好きなサーフェスじゃない。でも今日はサーブの調子が良かったし、途中からギアを上げてより積極的に攻めた。観客はすごく熱中していて雰囲気も良かったから、どんどん勝ち進みたいよ」とキリオスは試合後に話した。
だが大会開幕前に語ったところによると、キリオスが今年のクレーシーズンに出場する大会はこれ一つだけ。来月開幕の「全仏オープン」も欠場の予定だが、来年は2017年大会以来6年ぶりに出場するそうだ。
「今年出場するクレーコートの大会はこれだけだ。でも来年は“全仏オープン”に出場するよ」と明かしたキリオスは、その理由を聞かれると「彼女がパリを見たがっているんだ。だから“全仏オープン”に出ようかと(笑)。今年はもう、この後オーストラリアに帰ると決めてしまったからね。家で過ごせる時間は貴重なんだ、その後はまた3ヶ月、家を離れることになるから」
ヒューストンでの1回戦では得意の股抜きショットも見せていたキリオスは、ジョン・イズナー(アメリカ)と組んでインディアンウェルズのダブルスを制したジャック・ソック(アメリカ)とのペアでダブルスにもエントリーしている。「あまり好きではない」と言うクレーの大会でも、楽しいプレーを見せてくれるのではないだろうか。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は2020年「全豪オープン」でのキリオス
(Photo by Daniel Pockett/Getty Images)