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元世界13位のテニス選手もウクライナの軍に加わる

2017年「ATP250 ブエノスアイレス」でのドルゴポロフ(右)と錦織

ウクライナ侵攻を受けて同国のアスリートたちも戦いに加わる中、元世界ランキング13位のテニス選手アレクサンドル・ドルゴポロフ(ウクライナ)も母国を守るために予備役に加わり、今は首都キエフにいる。英スポーツメディア EUROSPORTなど複数のメディアが報じた。

ドルゴポロフは2018年の「ATP1000 ローマ」1回戦でノバク・ジョコビッチ(セルビア)に敗れたのを最後にツアーを離れ、2021年5月に現役を引退。シングルスでは錦織圭(日本/フリー)を決勝で下した2017年の「ATP250 ブエノスアイレス」を含む3つのタイトルを獲得し、ダブルスでは2011年の「ATP1000 インディアンウェルズ」の決勝でロジャー・フェデラーとスタン・ワウリンカのスイスペアを破った。現在33歳のドルゴポロフは今月16日、ロシアと戦うためにキエフに戻ったことをソーシャルメディア上で明かしており、各メディアとのインタビューで詳しい経緯を語っている。

ロシアの侵攻が始まった当初は母親と妹とともにトルコに逃げていたドルゴポロフは、心境の変化についてこう話す。「最初は国を離れようと思った。何かあれば僕はソーシャルメディアを活用して貢献できるんじゃないかって考えていたんだ。世界中にフォロワーがたくさんいるし、国内の情報にアクセスできるから真実を伝えられると思った。僕は軍隊に入っていないから、最初の数日は国外にいた方が役に立つと思ったんだ。第一線で戦うのは僕じゃないからね。でも、数日経って最初の攻撃が少し落ち着いた頃には戦況が明らかになって、優位なところと苦戦しているところがわかったんだ。その時に戻ることを考え始めた」

ロシアの侵攻が始まって5日目には予備役に入った元選手のセルゲイ・スタコウスキー(ウクライナ)が、「軍隊の経験はないけど銃を扱った経験はある」と話していたのに対して、ドルゴポロフは以前に銃を試した際には一発も的に当たらなかったという。だが、国を守るという強い意志が彼を動かした。「武器の使い方を知らなかったから、銃を練習できる場所に行ってみたら運良くそこに元軍人の人がいて、一週間くらい特訓を受けたんだ。それでいきなりランボーみたいになれたとは言わないけど、今では武器の扱いにだいぶ慣れたよ。完璧ではないけれど、敵がいたら確実に撃つことができるし、自信もついた」とドルゴポロフは話している。

その後ドルゴポロフは同じ志を持つアメリカ人の仲間と合流し、クロアチアで武器などを備えてからポーランド経由でウクライナに入ったという。「昔はラケットとガットだったのが今はこれだ」とのコメントが添えられたTwitterの投稿には銃や防弾チョッキ、ヘルメットなどが写っている。

現地では装備の手配にも積極的に当たっているドルゴポロフは、現役時代と目の前の厳しい現実を比べてこう語った。「トップに立つためには普段の生活の中でいろいろなことを諦めなければならないから、エリートレベルのテニス選手はみんな精神的にも強い。今はその目標が変わって、身を守ること、生き残ることに集中している。一分、一秒を生きているような感じなんだ。ただ戦い、生き延びようとしている」

ドルゴポロフはこの紛争は最終的にはロシア国民一人ひとりの責任が問われる問題で、ますます攻撃的になる政府に立ち向かわなければならないと述べた。ダニール・メドベージェフやアンドレイ・ルブレフをはじめとするロシア人テニス選手については、「彼らは慎重に言葉を選んでいて、“戦争には反対だ”とは言うけど、“自分の国の軍隊や政府が主導している戦争には反対だ”とは絶対に言わないんだ。僕はそこが納得いかない。テニス界の制裁は緩すぎる。もちろん、テニス選手たちの責任ではないことはわかっているけど、この戦争の犠牲者の多さを考えると、自分たちの大統領を止めるまではすべてのロシア人が責任を負うべきだ」とドルゴポロフは主張している。

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は2017年「ATP250 ブエノスアイレス」でのドルゴポロフ(右)と錦織
(Photo by Gabriel Sotelo/NurPhoto via Getty Images)

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