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ボイコット宣言で協会を動かしたスビトリーナが勝利[WTA250 モンテレイ]

「WTA250 モンテレイ」でのスビトリーナ

「WTA250 モンテレイ」(メキシコ・モンテレイ/2月28日~3月6日/ハードコート)に第1シードしてエントリーしていた世界ランキング15位のエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)が、初戦の相手がロシア人であることから大会をボイコットすると宣言。それによってテニス協会を動かした。豪ニュースサイト nine.com.auなど複数のメディアが報じている。

現地3月1日に1回戦で世界115位のアナスタシア・ポタポワ(ロシア)と対戦予定だったスビトリーナはその前日、試合に出場しない旨をTwitterで表明。ロシア軍がベラルーシ軍とともにウクライナに侵攻している中で、テニス選手としての自身の立場を表明した。

「現在のような状況においては、ATP(男子プロテニス協会)、WTA(女子テニス協会)、ITF(国際テニス連盟)が明確な立場を示すことが必要だと思います。そのため、私たちウクライナの選手たちは、ATP、WTA、ITFに対し、IOC(国際オリンピック委員会)の勧告に従ってロシアとベラルーシの選手を、国の象徴、色、旗、国歌を一切使用せず、中立の立場の選手としてのみ受け入れるよう要請しました。従って、私たちの組織が必要な決定を下すまで、私は明日のモンテレイでの大会およびロシアやベラルーシの選手と対戦するいかなる試合にも参加しないことを表明します」

「ロシアの選手たちを責めるつもりはありません。彼らは私たちの祖国への侵略に責任があるわけではありません。それどころか、戦争に反対する立場を勇敢に表明してくれたすべての選手、特にロシアとベラルーシの選手に敬意を表したいと思います。彼らの支援は不可欠です」

IOCは2月28日、ロシアとベラルーシの選手と役員を国際大会に参加させないよう各競技団体に勧告し、もし参加する場合は国籍を表に出さない形での出場を勧めていた。最終的には主催者の判断に任せるとしているものの、この発表の直後にはFIFA(国際サッカー連盟)とUEFA(欧州サッカー連盟)がロシアの代表チームやクラブチームの大会参加を認めないと発表しており、このままならロシアは3月下旬に予定されている2022年のワールドカップ予選に出場することができない。ウクライナのテニス連盟もITF宛てに両国のテニス連盟を除名するよう求めていた。ITFはロシア国内での大会を無期限で中止し、ベラルーシでも今年大会は予定されていないと発表。さらに、4月にウクライナで行われるはずだった大会は、「治安上の懸念が高まっている」として延期を発表していた。

スビトリーナと同じように、世界54位のマルタ・コスチュク(ウクライナ)や世界127位のレシヤ・ツレンコ(ウクライナ)も、ロシアのウクライナ侵攻に対するWTAからの反応がないことで「多大なる驚きと不満を感じている」とSNSで表明し、WTAに対して直ちにロシア政府を非難してすべての大会をロシアから引き上げるよう求めた。「過去に社会的不公正やセクシャルハラスメントがあったとされる事件では、WTAの対応は迅速かつ適切で大胆なものだったのに」と、元ダブルス世界1位のペン・シューアイ(中国)が中国の元政府高官から性的暴行を受けたと告発した際のWTAの対応を引き合いに出した。

一方で、スビトリーナと対戦するはずだったポタポワは「現状下ではプロのアスリートたちは捕虜になっているも同然」とし、Twitterに苦しい胸の内を吐露した。「子どもの頃から大会や国籍、対戦相手に関係なくテニスをプレーすることを夢みてきた。政治に関わる人にはわかってもらえないかもしれないけど、私にとっては対戦相手がどこの国の選手であるかは関係ない。私はただ勝利のため、自分のベストを尽くすため、結果を残すために戦っている」

こうした選手たちからの訴えが協会を動かしたようで、ATP、WTA、ITFはグランドスラムを運営する4つの団体との共同声明を発表。スビトリーナが求めたように、ロシアとベラルーシの選手はツアーとグランドスラムの試合には出られるものの、国名や国旗は使えないという措置を採ることを明かした。そのほかには、この2ヶ国で開催されるITFの大会をすべて無期限でキャンセルするとともに、両国の選手たちのITF大会参加を禁止。そして10月にモスクワで行われる予定だったATP・WTAの大会を中止するという。

これを受けて、スビトリーナは試合に出場。黄色いサンバイザーとタンクトップ、そして水色のスカートというウクライナカラーに身を包み、ポタポワに6-2、6-1で勝利した。

試合後、スビトリーナは今大会での賞金をウクライナ支援のために寄付すると発言。「ウクライナで恐ろしいことが起きていることを考えると、これは特別な試合でした。私は自分のためだけでなく私の国のために戦っています。支援が必要なウクライナの軍や人々のためにプレーしているんです。勝利の一つひとつがとても特別なものになるでしょう。私の使命は、ウクライナとともに立ち上がるようにテニスのコミュニティを団結させることです」

同じウクライナ選手で、妹とともに戦火を逃れてきたと先日明かしていた世界140位のデヤナ・イエストレムスカ(ウクライナ)も、「WTA250 リヨン」(フランス・リヨン/2月28日~3月6日/室内ハードコート)での初戦に勝利。世界97位のアナ・ボグダン(ルーマニア)に2度マッチポイントを握られながらも、3-6、7-6(7)、7-6(7)と接戦を制した。「故郷のことを考えてしまうので、試合に集中するのが難しかった」として、「国のために勝つことができたのは嬉しいけど、国で起きていることに比べたら何の意味もないわ。ウクライナの人々こそが本物のヒーローよ。すべてがなるべく早く終わることを祈っている」と述べている。

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は「WTA250 モンテレイ」でのスビトリーナ
(Photo by Gonzalo Gonzalez/Jam Media/Getty Images)

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