個性的なデザインで知られる「全仏オープン」の大会公式ポスター。大会公式ウェブサイトが2022年版のデザインを発表し、担当したアーティストを紹介している。
フランステニス協会(FFT)は1980年から毎年、「全仏オープン」の大会公式ポスターのデザインをアーティストに依頼している。今年は具象絵画で知られる33歳のフランス人画家、ルイーズ・サルトール氏がその栄誉に浴した。2018年のファビエンヌ・ヴェルディエ氏に続き、ポスターをデザインする2人目の女性フランス人アーティストとなったサルトール氏は、ボールキッズが主役となる、光に満ちたシーンを描いた。
「全仏オープン」のポスターに今回初めて登場したボールキッズは「全仏オープン」で重要な役割を果たしており、彼ら自身が大会の主役とも言える。目立たないようでいて必要不可欠な存在である彼らは、クレーコートでバレエダンサーのように華麗な動きを見せてくれる。2021年大会に招待されたサルトール氏は、大会の独特な雰囲気を自分の目で確かめながら、その場でポスターのテーマを決めたという。ボールキッズの正確な動きに魅了され、その完璧な振り付けに魅せられたアーティストは、彼らに敬意を表し、その効率性、集中力、技術を引き立てようと試みた。完成したポスターでは、あごより下だけが描かれた一人のボールキッズがボールを手にネットのそばで跪き、すぐにでも動ける体勢で構えている様子がアクリルガッシュで表現されている。コートとボールキッズの身体にかかるネットの影は、ローランギャロスの特徴である日差しの明るさを強調。クレーコートのオレンジ色やボールキッズの肌の色などサルトール氏が選んだ色彩や、手書きで書かれた「2022」や「ROLAND GARROS」という文字が相まって、ポスター全体から親しみやすさと心地良さを兼ね備えた温かさが醸し出されている。まさにパリにおけるグランドスラム大会の独特の雰囲気そのものだ。
「全仏オープン」で活躍するボールキッズは大会全体の高い評価に貢献しており、ほかの大会が追随する基準となる彼らの熟練の技は試行錯誤の上に成り立つ。毎年、厳しい選考とトレーニングを経て12歳から16歳までの250人の若者が選ばれ、フランス全土から集まってきた彼らは3週間にわたってポルト・ドートイユにあるクレーコートで練習を積む。彼らの唯一の目的は、自分たちの仕事を極めることだ。
サルトール氏は1988年にパリで生まれたフランス人アーティストで、パリ装飾美術学校とパリ国立高等美術学校を卒業。2017年にパリで、2018年にはロサンゼルスで個展を開いており、2019年には厳しい参加基準が設けられた世界最大級の現代アートフェア、「アートバーゼル」にも出展するなど、幅広く活動している。ポール・セザンヌ、クロード・モネ、ピエト・モンドリアンらに影響を受けたサルトール氏は徹底して具象的な表現にこだわる画家であり、小さいサイズの作品には厚紙や再生紙などのリサイクル可能な素材を好んで使用する。また、時折タブレットを使って作品を作ることもあり、まさにミレニアル世代のアーティストと言える。
芸術の都パリで開かれるグランドスラムならではの演出に注目してみるのも楽しいかもしれない。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は「全仏オープン」のセンターコート
(Photo by Mustafa Yalcin/Anadolu Agency/Getty Images)
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