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大坂、ルブレフも…ロシアのウクライナ侵攻にテニス選手が反応

「ATP500 ドバイ」でのルブレフ

ロシアは24日、欧米諸国の警告を無視してウクライナに対する軍事侵攻に踏み切った。刻一刻と情勢が変化する中、テニス選手たちがSNSや記者会見を通してそれぞれの思いを語っている。英Daily Mail紙など複数のメディアが報じた。

ウクライナはロシア軍による侵攻に加え、北からはベラルーシ軍が南下、ロシアが併合した南のクリミア半島からも攻撃されており、上空からもミサイルなどによる砲撃を各地で受けている。ウクライナ側では兵士および民間人に多くの犠牲者が出ており、チェルノブイリ原子力発電所や多数の軍事施設が既に占拠されているという。攻撃が開始されるわずか4日前、ロシアのアンドレイ・ルブレフとウクライナのデニス・モルチャノフのペアは「ATP250 マルセイユ」のダブルスで優勝を飾っている。34歳でダブルス世界ランキング77位のモルチャノフにとってはキャリア初のタイトル。ルブレフは同大会のシングルスでも優勝し、2冠を達成した。国籍に関係なく力を合わせて戦った二人とは対照的に、両国の敵対関係は武力行使へと発展した。

第2シードとして現在「ATP500 ドバイ」(アラブ首長国連邦・ドバイ/2月21日~2月26日/ハードコート)に出場しているルブレフは、世界61位のマッケンジー・マクドナルド(アメリカ)と対戦する準々決勝を前に、その日の朝にテレビで見た、ロシアがウクライナを攻撃する映像を必死に頭から掻き消そうとしていたという。最初の5ゲームを失うも、2-6、6-3、6-1で逆転勝利を挙げたルブレフは、試合後に苦しい胸中を語った。

「こういう時、いかに自分の試合が重要でないかということに気づかされる。自分の試合やそれがどう影響するかなんてどうでもいい。今起きていることはもっと恐ろしいことなんだ。世界の平和と、何があってもお互いを尊重し、団結することがいかに大切かを思い知らされた。地球を大切にすること、お互いを大切にすること。それが一番大事なんだ」

ルブレフは国籍を理由にネット上で標的にされているという。だが、「たとえ石を投げられても、僕は平和を求めていること、決して攻撃的なことをするつもりはないことを示すつもりだ」と自身の立場を表明した。

ルブレフの同胞である世界2位のダニール・メドベージェフ(ロシア)は、ルブレフとモルチャノフのダブルス優勝を称賛。「素晴らしいこと。人々は団結し合うことが最も大事だからね」と語り、「一人のテニス選手として、世界中で平和の大事さを訴えたい。僕たちテニス選手は様々な国でプレーしている。僕自身、ジュニアやプロとして多くの国を訪れてきた。だからこうしたニュースを聞くのは簡単じゃないよ。僕は平和を求めている」と述べた。

テニス界からは国籍を問わず心配する声が多く挙がっている。SNS上のコメントには一様にウクライナ国旗の青と黄色のハートマークや祈る絵文字、ウクライナのハッシュタグなどが添えられている。大坂なおみ(日本/フリー)は「ニュースを見ていても、自分が目の当たりにしていることが信じられない。私たちはみなさんのことを思い、祈っているわ」とTwitterに綴った。1990年代後半から2000年代にかけてダブルスのスペシャリストとして活躍し、ダブルス世界1位にまで上りつめたレネ・スタブス(オーストラリア)も「ウクライナのテニス選手たちとその家族、そして同国の人々のことを思っている」と投稿している。

中でも胸を痛めているのはウクライナの選手たちだ。世界15位のエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)は、Twitterに「耐えられない」という一言の後にたくさんの号泣する絵文字と割れたハートの絵文字を添えた。別の投稿ではウクライナの美しい自然や文化をまとめた動画をリツイートし、母国の平和と未来を祈り、「ウクライナに栄光あれ」とコメントしている。元世界23位のレシヤ・ツレンコ(ウクライナ)は「テニス界全体で戦争に反対する声をSNSで発信してください。どうか、この困難な時期にウクライナへの支援をお願いします。ロシアの独裁者の政治的野心のために、私の国の人々が死ぬなんて許せない!」とTwitterに投稿し、ATP(男子プロテニス協会)とWTA(女子テニス協会)をメンションして悲痛な思いを訴えた。

元世界49位のイリヤ・マチェンコ(ウクライナ)も強い言葉で訴えかけている。「2014年に彼らは自分たちの考える“平和”をクリミア、ルハーンシク、そして僕の故郷であるドネツクに持ち込んだ。そして今、彼らはそれをウクライナ全土に持ち込もうとしている。世界のほかの国々に伝えたいことがある。もし、これがあなたたちには関係ないとか、自分たちは同盟国が守ってくれると思っているならば、このことについて考えてみてほしい。ウクライナの人口は約4000万人、軍事力は25万人以上、それでも彼(ロシア大統領ウラジーミル・プーチン)を止めることはできなかった」

「だから、自分の国の防衛力を確認して、パンデミックが起きた時にいかに各国が団結していたかを思い出してほしい。制裁だけでは足りないんだ」

元世界13位で昨年に現役を引退したアレクサンドル・ドルゴポロフ(ウクライナ)は、ロシア各地で起きている抗議活動に参加する男性が警察官に連行される様子を捉えた動画を投稿。「ロシア国民もこの戦争を望んでいない。お願いだから、この動画を拡散してほしい。ロシアの大都市で戦争に反対する集会がたくさん開かれているんだ」とコメントを添えた。

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は「ATP500 ドバイ」でのルブレフ
(Photo by Martin Dokoupil/Getty Images)

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