グランドスラム
ジョコビッチ、ワクチンを打つくらいならグランドスラムを欠場すると語る
先月、新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐりオーストラリアから強制退去、「全豪オープン」を欠場することになった世界王者のノバク・ジョコビッチ（セルビア）。彼は、ワクチンを接種しなければならないのなら今後の「全仏オープン」と「ウィンブルドン」も欠場すると述べている。英BBCが伝えた。
今回のBBCの独占インタビューが、オーストラリアでの騒動の後で初めて受ける取材となったジョコビッチ。彼は反ワクチン主義ではないとしつつも、ワクチン接種を強制されるくらいなら大会を欠場する意向を明かした。
今年の5月下旬に開幕する「全仏オープン」は、現在のルールではワクチンを接種していなければ参戦することができない。しかしジョコビッチは「それ（欠場）が代償なら払うのも厭わない」と話す。
インタビュアーから、なぜそこまでするのかと聞かれると、「身体に対する自分の決断を大事にすることの方が、タイトルを含めたほかのものよりも重要だからだよ」とジョコビッチは説明する。「僕は一度もワクチンに反対したことはない」として、子どもの頃はワクチンを打っていたと語る。「全世界の人口の半分以上がワクチンを打っていることは尊重する。だけど、僕は自分の身体に何を入れるかについての自由をいかなる時も支持しているんだ」
34歳にして持久力や柔軟性などで高いアスリート能力を誇るジョコビッチは、かつて食生活や睡眠パターンを変えたことで選手として多くの成功を収めることができたと考えているようだ。彼は大会側がワクチン接種を求める現状が変わることを望んでおり、「今後数年にわたってプレーを続けたい」としている。
とはいえ、決してワクチンを打たないと断言しているわけではない。将来的にワクチンを打つ可能性があるのかについて聞かれた際に、「オープンな姿勢でいるよ。結局はみんな、コロナを終結させるための解決策を模索しているんだからね」と、考えを変える余地があることを示している。
「僕は一度もワクチンに反対したことはない。世界中で誰もがこのウイルスを抑え込むために多大な努力を費やしていることは理解している。収束が近いことを願っているよ」
なお、ジョコビッチはオーストラリアに渡る少し前に新型コロナに感染したとしてワクチン免除を一度は認められたが、それについて批判されてもいるという。「多くの批判があることはわかっている。僕が（直前に感染したことが）いかにラッキーか、いかに都合が良かったかとして様々な説が唱えられていることもね。だけど、新型コロナに感染してラッキーな人なんていない。世界中で何百万人もの人たちが今もこのウイルスに苦しんでいるんだ。だから僕はとても深刻に受け止めているよ。PCR検査で陽性になってオーストラリアに行けるようにするために何かを悪用したといった風には考えてほしくないね」
なお、コロナの検査といえばBBCがジョコビッチの検査証明書に不審な点があると1月下旬に報じたが、それについて何かしらの改ざんが行われていたのではないかと問われると、「知らない」と返答している。
ジョコビッチはオーストラリアで起きた一連の騒動についてもコメント。「オーストラリアで起きたことはとても悲しかったし失望したよ。簡単じゃなかった。（入国書類で虚偽の申告があったことは）故意じゃない。そのことは連邦裁判所にも移民局の大臣にも認められている。おそらく多くの人は知らないと思うけど、僕が強制出国となったのは、ワクチンを打っていないからでも何かのルールを破ったからでも入国書類でエラーを犯したからでもない。移民局の大臣が、僕はオーストラリアの反ワクチン感情を駆り立てる存在だと感じて、彼の裁量で僕のビザを取り消したからだ。そんなものとは僕はまったく相容れないのにね」
ジョコビッチは今後、ワクチン接種を条件としていない「ATP500 ドバイ」（アラブ首長国連邦・ドバイ／2月21日～2月26日／ハードコート）でシーズン初めての大会に出場する予定となっている。先日、出場するには新型コロナウイルスのワクチン接種が必須となる「ATP1000 インディアンウェルズ」（アメリカ・インディアンウェルズ／3月10日～3月20日／ハードコート）のエントリーリスト入りをしていたが、ワクチン接種をしないという今の姿勢を変えないのであれば、こちらは出場を見送ることになる。
（WOWOWテニスワールド編集部）
※写真は2021年「全仏オープン」でのジョコビッチ
(Photo by John Berry/Quality Sprt Images/Getty Images)
