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選手もレインボーカラーを身に着けて支持。全豪OPで初めてのプライドデー開催

レインボーカラーのリストバンドを着けてプレーするコキナキス。左はダブルスパートナーのニック・キリオス(オーストラリア)

1月24日の夜、暗くなったロッド・レーバー・アリーナの外観が虹色にライトアップされた。これは「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/1月17日~1月30日/ハードコート)初の公式プライドデーを象徴する仕掛けであり、この日のイベントで一番目を引く瞬間となった。LGBTQ+を称えテニス界の包摂性を向上するため、会場であるメルボルン・パークでは一日中、虹色が散りばめられていた。英メディアのBBCが報じている。

オーストラリアテニス協会と協力して、「全豪オープン」でのLGBTQ+の選手たちのためのイベント「グラム・スラム」を行ったローウェン・デソウザ氏は、次のように語った。

「テニスには、LGBTQ+を包摂することにおいて他のスポーツよりもずっと多くのことをする機会があると思います。“全豪オープン”でのプライドデーをとても誇らしく思いますし、本当に嬉しいです。私たちのコミュニティはテニスにおいて常に歓迎されていると感じていたわけではありません。LGBTQ+の人たちがオープンに参加できる場所では必ずしもなかったのです」

女子テニスでは、引退した選手や現役選手で同性愛者であることを公言している選手も多い。グランドスラム優勝経験者のビリー・ジーン・キング(アメリカ)やマルチナ・ナブラチロワ(アメリカ)らがそうだ。しかし、トップレベルの男子選手で現役期間中に公にカミングアウトをした選手はいない。

デソウザ氏は、現役男子選手にとって同性愛者であることを公言するのは「複雑な問題」であり続けていると言う。

「LGBTQ+としてカミングアウトすると、現在のキャリアにも影響するし、引退後のキャリアにも影響するという問題があります。サウジアラビアやシンガポールのように、未だに違法としている国もあります。それに、同等のマーケティング価値があるでしょうか。カミングアウトしたことによって金銭的に不利になるLGBTQ+の人々がいます」

「私たちのステップは、有名ブランドを巻き込むよう試みることです。大きなブランドがLGBTQ+の人々を大切にし、他の選手たちと同じ機会を与えるということを示す合図を送るのです」

「それに、メディアから否定的な注目を浴びる可能性も未だにあります。それはパフォーマンスに影響するでしょうか。こういった問題がまだ残っているのです」

「全豪オープン」出場選手たちも、大会期間中にLGBTQ+コミュニティへの支持を示している。リアム・ブローディ(イギリス)は、シューズに虹色の靴ひもを結んで試合に出場し、タナシ・コキナキス(オーストラリア)は虹色の汗止めバンドを身に着けていた。「全豪オープン」は、このイベントをプロモートするため、プライドデーにトップ選手たちの映像を公開。これにはステファノス・チチパス(ギリシャ)やらアシュリー・バーティ(オーストラリア)が出演し、プライドデーへの支持を表明している。

「思ったより多くの支持が得られました。リアムやタナシが私たちを支持しているのを見るのは素晴らしいです。飛び乗るように人々が参加して来てくれています」とデソウザ氏は喜びを語った。

一方で、良い動きに水を差しかねない大きな問題も1つ残っている。メルボルン・パークで2番目に大きい試合会場には、グランドスラムで24度のシングルス優勝を果たしたマーガレット・コート(オーストラリア)の名が冠されている。コートは長い間、彼女のLGBTQ+コミュニティについての見解によって、議論や怒りを生み出してきた。

テニス選手から牧師に転身したコートは2017年に、テニス界は「レズビアンたちであふれて」おり、トランスジェンダーの子どもたちは「悪魔の仕業」だと発言して、広範な非難を呼んだ。コートはまた、オーストラリアの航空会社であるカンタスが同性婚を支持していることへの抗議のため、「可能なら」同社の航空機を利用しないと発言した。

昨年、ビクトリア州知事のダニエル・アンドリューズ氏は、「憎悪をまき散らし分断を生み出している」としてコートを批判。テニス界でも、ナブラチロワやキングを含む大勢がコートの見解を非難している。2020年の「全豪オープン」では、ナブラチロワとジョン・マッケンロー(アメリカ)が、マーガレット・コート・アリーナの名前を変更することを求める横断幕を掲げたが、後にやり過ぎだったとして謝罪した。

月曜日のイベントでLGBTQ+への支持を示してインタビューを受けた若いテニスファンたちは、コートの過去の発言を知らなかった。しかし、コートを選手として記憶している年長のオーストラリア人ファンたちは、この論争について知っていた。メルボルン在住の60代の3人組は、コートの見解に同意しないと明言した。しかし同時に、彼らは皆、スタジアムから彼女の名前を剥奪すべきではないと考えている。

「私には同性愛者の息子がいるから、当然プライドデーをすごく支持していますし、祝うべきことだと思います。それに、マーガレット・コートは黙っているべきだったと思います。でも、スタジアムの名称変更をすべきだとは絶対に思いません」60歳のシャープさんはこう話した。

「彼女には自分の意見を持つ権利があると思うけれど、別の視点を持つ他者を貶めるべきではありません。彼女の意見は支持しませんが、彼女が皆に知られ愛されてきたテニスの王者であることは変わりません」63歳のアウトラムさんがこう話すと、62歳のオクスルさんは次のように付け加えた。「人々には色々な見解があって、彼女の見解は理想的なものではありません。でも、彼女のテニスでの功績と彼女の見解という2つの事柄は分けて扱われるべきですし、スタジアムの名前は変更されるべきではないと思います」

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真はレインボーカラーのリストバンドを着けてプレーするコキナキス。左はダブルスパートナーのニック・キリオス(オーストラリア)
(Photo by Quinn Rooney/Getty Images)

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