ワクチンの未接種をめぐってオーストラリアを国外退去になった世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が、新型コロナウイルスの治療法を開発中のバイオ企業に出資していることが明らかとなった。ロイター通信など複数のメディアが報じている。
裁判所に国外退去を命じられたジョコビッチは、「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/1月17日~1月30日/ハードコート)でタイトル防衛に臨むことなくオーストラリアを後にし、現在は母国のセルビアに戻っている。その後フランスをはじめ、グランドスラムやマスターズ1000大会を開催する各国はワクチン接種を出場条件にする姿勢を強めており、このままワクチンを打たなければジョコビッチにとって活躍の場は減る一方となる。
そんな中、ジョコビッチが新型コロナの治療法の開発を目指すデンマークのバイオテック企業、QuantBioRes社の筆頭株主であることが発覚した。同社の最高経営責任者(CEO)を務めるIvan Loncarevics氏がロイター通信に認めたことで明らかになった。Loncarevic氏によれば、ジョコビッチと妻のエレナさんはそれぞれ同社の株式の40.8%と39.2%を2020年6月に取得したとのことだ。二人合わせて80%を占める株式の金額は明かされておらず、これまでのところジョコビッチ夫婦からのコメントは得られていない。
QuantBioRes社では12人ほどの研究者がデンマーク、オーストラリア、スロベニアで開発を進めており、今夏にイギリスで臨床試験を開始する予定となっている。同社の製品はワクチンではなく、ウイルスがヒトの細胞に接触した直後に感染を阻止することができる治療法だという。2020年半ばに同社が発表した論文には、「突然変異の問題を克服できる画期的で斬新なアプローチを生み出す我々の方法は、すべての変異ウイルスに対する普遍的な治療法を生み出す可能性を秘めている」と記載されている。
米経済誌Forbesが毎年発表するアスリート長者番付の2021年版でトップ50に入っていたジョコビッチは、スポンサー収入などテニス以外の収入が3000万ドル(約34億3300万円)で、大会の賞金で稼いだ450万ドル(約5億1500万円)を大きく上回っている。もしQuantBioRes社の研究が成功すれば、ジョコビッチ夫婦が手にする富は莫大なものになるかもしれない。
だが、ジョコビッチにとって最も重要なのは資産を増やすことではなく、歴史上最も偉大なテニス選手として評価されることのはずだ。ただでさえそれを達成するために残された時間が限られている中、34歳のジョコビッチの前にパンデミックが立ちはだかる。時間切れになる前に再びグランドスラムのタイトルを手にしたいジョコビッチは、治療法に望みを託しているのかもしれない。
※為替レートは2022年1月20日時点
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は2020年「アドリア・ツアー」でのジョコビッチ
(Photo by Srdjan Stevanovic/Getty Images)
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