世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)がワクチン接種を免除される形で「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/1月17日~1月30日/ハードコート)に出場するはずが、入国ビザを取り消されて強制送還となる事態に直面しているのに続き、別のテニス選手も免除での入国を取り消された。米ニュースメディア Newsweekなど複数のメディアが報じている。
新型コロナウイルスのワクチン接種を免除される形で「全豪オープン」出場が決まったところまでは順調だったジョコビッチ。どころが、5日の夜に現地に到着するとビザが取り消され、翌日の出国を命じられることに。数時間にわたって空港で拘留されたジョコビッチは現在、難民や亡命者が収容されている劣悪なホテルにいる。そんな彼と同じようにワクチン接種を受けずにオーストラリアに入国したテニス選手がいるとして調査が進められていたが、今回新たにダブルス世界81位のレナタ・ボラコバ(チェコ)が入国ビザを取り消され、出国を命じられた。ジョコビッチがあくまで戦う姿勢を示し、10日に連邦裁判所での聞き取りを控える中、ボラコバは「全豪オープン」に出場することを止めて出国することを決断している。
英Guardian紙の報道によれば、ジョコビッチとボラコバは同じ理由――新型コロナに感染し、その後回復した――によりワクチン免除の許可が下りていたという。昨年終盤に感染、回復を経験していたボラコバは年末に入国し、今月5日には「WTA250 メルボルン1」(オーストラリア・メルボルン/1月4日~1月9日/ハードコート)でもプレーしていた。二宮真琴(日本/エディオン)、穂積絵莉(日本/日本住宅ローン)、日比野菜緒(日本/ブラス)も参戦していた同大会で、ボラコバは1回戦負けを喫した。
ボラコバは7日にビザを取り消され、何時間にもわたって尋問された後、ジョコビッチと同じホテルに収容された。劣悪な環境と伝えられる同ホテルでの生活について、彼女はこう話す。「すべて配給制で、食事は運ばれてくるの。廊下にはガードマンがいるわ。なんだか刑務所にいる気分よ。部屋からは出られなくて、窓は5cmしか開かないの。どこにでもガードマンがいて、窓の下にすらいるのよ。ちょっと面白いわよね。私が窓から飛び降りて逃げると思ってるのかしら」
なお、彼女自身はジョコビッチと違い、メルボルンの税関をスムーズに通過できたという。「すぐに入れてもらえたわ。検査官は私の書類を持ってどこかに一旦行ったけど、その後で私は問題なく入国できると確認されたの」と回想するボラコバは、入国から1週間経ったタイミングでビザが取り消された理由は「わからない」と話す。
現在38歳のボラコバはこれまでに11タイトルを獲得。そのうちの2つ、2014年の大阪大会と、2017年のワシントンDC大会での優勝は、青山修子(日本/近藤乳業)とともに成し遂げたものだ。そんなベテラン選手は、出国を決意した理由について以下のように説明する。「新しいビザを発行してもらうためには1週間待たなければならないの。その間はホテルの部屋に閉じ込められて、トレーニングもできずにね…そんなの意味がないわ。だから今は出国する許可を待っているところなの。多分土曜には許可が下りるんじゃないかしら」
また、同じ状況にあるジョコビッチに対してエールを送った。「彼にはプレーしてほしいわ。私たちはアスリートで、テニスをするためにここに来たんだから。論争するためではなくてね」
なお、オーストラリア国境警備隊の声明によれば、ボラコバのほかにもう一人の選手が勾留されているとのことだが、今のところそちらの名前は明らかになっていない。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は2015年「全仏オープン」でダブルスを組んだボラコバ(右)と青山(左)
(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)
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