ニュース News

全豪オープンとダンロップが作り上げたジュニア育成の取組み「世界の舞台に立つ機会を与えて成長につなげたい」

住友ゴム工業(株)と日本テニス協会共催の「ダンロップ全豪オープンジュニアシリーズ」(「DUNLOP ROAD TO THE AUSTRALIAN OPEN JUNIOR SERIES IN YOKKAICHI」)が2022年11月に三重県四日市で開催された。WOWOWテニスワールドでは本大会の優勝選手や大会ディレクターを取材し、「全豪オープンジュニア」までの道のりを全3回にわたって連載。第3回目となる今回は前後編の2回に分けてお届けする。

2022年で5回目を迎えた「ダンロップ全豪オープンジュニアシリーズ」。昨年は3年ぶりに海外選手の招聘が実現し、国際大会を実施。海外からの選手はこれまで東アジアの選手を中心に招聘していたが、2022年からはアジア・オセアニア地域に広げたことで、アジア全体のレベルアップを図っている。より国際色豊かになった本大会に各国から選手が参戦し、それぞれ夢のグランドスラムに向けて熱い戦いを繰り広げた。

今回は本大会のサポートをしたオーストラリアテニス協会のフランシス・ソイヤー氏へのインタビューを敢行。海外でのジュニア育成や日本の体制についての意見を聞くことができた。

――日本と海外で、ジュニア育成の違いはどんなところにありますか?

フランシス:私はジュニアイベントからプロのサーキットツアーの運営を約20年経験しています。オーストラリアや海外に遠征する日本のチームなどを見ると、朝からコート上にいて、昼間も夜もトレーニングに常に向き合って試合の準備をしていて、凄いと思いました。夜まで練習をずっと続けるところを見ていると、他の国と比べて努力しているなと思います。

それと、コーチ陣がメンタル面でもしっかりサポートを行っており、そのトレーニング法にも重要性を感じました。そういった面は試合にも表れていると思います。どんなボールでも追いかけ決して諦めない姿勢は、トレーニングから成し得たものだと男女それぞれに言えると思います。特にジュニアサーキットではこれらがはっきり見えると思っています。

全豪オープンジュニア本戦前に開催されたレジェンドとのプラクティスセッション。本戦出場の富田悠太選手(左)と辻岡史帆選手(右)、指導するアリシア・モリックさん(真ん中)

――日本のジュニア育成の体制についてどんなことを感じていますか?

フランシス:以前から思っていたのは、日本のチームには非常に強いチームワークがあるということです。常に仲間や他の選手の事も気にかけていると思います。個人的にはこれはすごく大事な事で、どの国も同じようにあるべきだと思っています。文化的なところも大きな要因ではあると思いますし、確かにテニスは個人競技です。ただしチームとして動いたりしている時は、ある選手が朝9時に試合が終わっても、チームメートが夕方16時からの試合があれば会場に残り、勝ち負けに関係なく、チームメートと過ごすというのは非常に大切な事だと思っています。日本にはそれが既に備わっていると思います。

――オーストラリアでのジュニア育成の特徴を教えてください。

フランシス:この20年を振り返って、オーストラリアで良かったかなと思うのは、過ちをきちんと過ちと認識して育成プログラムの軌道修正を行えた事かと思います。

例をあげると、昔は11歳、12歳くらいの若い選手をヨーロッパへ派遣しておりました。アシュリー・バーティ(オーストラリア)も著書で書いていましたが、その若さでは常に移動する生活は厳しく、良くない。現在はこういう事は取りやめて、家から通えるという環境化でシステム構築しました。16歳くらいになると、ナショナル・アカデミーがブリズベンに設置されましたが、選ばれた選手の場合は費用などの完全なサポートがテニスオーストラリアから受けられ、素晴らしいプログラムが用意されています。よって、選手をサポートするという観点からですと、選手がトレーニングセンターに行く、行かないに関係なく、以前よりは柔軟な方法で選手がいざ海外転戦する際はその準備の手伝いがしやすくなりました。

また、それ以降の年代ではアメリカの大学へ派遣することが多くなりました。テニス界を見ていると、18歳から21歳間で実際にプロになる選手は限りなく少ないと思っています。よって、アメリカの大学などの推薦を得るチャンスなど、まだプロになれない選手にもその道があるというガイダンスをしています。アメリカの大学は現地の環境も素晴らしいですし、テニスの試合もたくさん出来ます。また、学業という違う道へ進む場合に必要な事も学べます。アメリカはそこが凄くしっかりしたシステムがあると思います。

――日本とオーストラリアがジュニア育成において互いに学ぶべき点はどういった部分でしょうか?

フランシス:日本の一つうらやましい点は、メディアがテニス選手をきちんとサポートしているところです。ユニクロなどの商業的サポートもあります。オーストラリアでも会社や各メディアが同様の動きになれば良いと思います。トッププレーヤーだけではなく、その他の選手ももっと知って欲しいとは思います。

――日本のジュニア選手のプレーについてはどう見ていますか?(特徴や注目している選手など)

フランシス:クロスリー真優選手が「エディー・ハー国際ジュニア選手権」と「オレンジボウル」というアメリカのビッグタイトル2つを獲得した事に驚きました。偉業だと思います。彼女のプレーがオーストラリアで見られるのが楽しみです。

それと、齋藤咲良選手もこのままジュニア世界ランキング5位をキープすれば、「全豪オープン」でもトップシード獲得となると思います。トップシードというプレッシャーもあると思いますが、メルボルンの大会で良いプレーを期待しています。

日本は常に14歳以下、16歳以下は国際大会では良い結果を出しています。私が見る限りは女子5人、男子3人が「全豪オープン」に出られるようになるという事は凄い事だと思いますし、他の国もこれほど結果は出せていないと思います。後は同様の事をプロレベルで日本テニス協会が実践出来ればと願っています。

ダンロップは2019年度より全豪オープンの公式ボールサプライヤーとして、大会使用球の提供をしている

――ダンロップとの取り組みについて感じている事や、さらに拡大していきたい部分、今後必要だと思う部分はどんなことでしょうか?

フランシス:ダンロップとは本当に良いパートナー関係が続いています。同社は「全豪オープン」の公式ボールに長年選ばれていますし、この良い関係を引き続き維持したいと願っています。今後も11月に実施した「ダンロップ全豪オープンジュニアシリーズ」などの企画によってアジア地域のジュニア育成及び業界の底上げが引き続き出来ればと思います。コロナにより国際大会の実現が出来ず2年間待ちましたが、やっと2022年11月カレンダーにこの大会を入れる事が出来ました。元々何もない所から初めて、ダンロップがここまでの大会に育てたのは素晴らしいと思います。さらにこのイベントを成長させる為に協力するつもりですし、まだ現在は日本国内のみでの大会ですが、アジアオセアニア諸国でのプレ大会の開催を視野に入れています。

特にアジアオセアニア諸国の選手達にとっては世界中旅してポイントを稼がなくても、この大会を制する事で「全豪オープンジュニア」という世界の舞台に立つチャンスが得られる貴重な仕組みと考えています。

今後もダンロップとテニスオーストラリアが協力し、様々な取り組みを通してアジアのテニス界を盛り上げ、そして成長させてくれることを期待したい。

(WOWOWテニスワールド編集部)

WOWOWテニスワールド編集部

WOWOWテニスワールド編集部

facebook twitter

速報や最新ニュース、グランドスラム、ATP、WTAなどの大会日程と試合結果情報など、テニスのすべてをお届けします!

WOWOWテニスワールド

  1. Home
  2. ニュース
  3. 全豪オープンとダンロップが作り上げたジュニア育成の取組み「世界の舞台に立つ機会を与えて成長につなげたい」