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鈴木貴男が語るフェデラーの強さ「他の選手とは次元が違った」

写真はフェデラー(左)鈴木貴男(右)

“皇帝” “レジェンド” “史上最高のテニスプレーヤー”

ロジャー・フェデラーという選手を表現しようとした時に使われるこれらの言葉たち。

この言葉の並びを見ただけでも、いかにフェデラーが素晴らしく崇められるようなプレーヤーだったかがわかります。例えば記録の面から「どれだけすごい選手であるか」ということを、今更テニスファンの皆さんに説明するまでもないとは思いますが、実際に対戦した人から見てフェデラーはどうすごかったのか?今回は2005年全豪オープン、2006年AIGジャパンオープンで実際にフェデラーと対戦した鈴木貴男さんにテニスが大好きなWOWOWアナウンサー川又智菜美が聞いてみました。

まず、当時の印象として「フェデラーのいる次元に他の選手たちが追いつけない感じだった」と話してくれた鈴木さん。もしフェデラーという選手がいなかったらもっと活躍してタイトルをとっていたはず、とアンディ・ロディックなどを“フェデラーの被害者”と表しているのを見かけますが、そんな言葉が出てきてしまうくらい特別で異質な存在だったのだとわかります。

〈速さと力強さ〉

「想像以上に動きが速い。そして力強い」対戦した時の印象を振り返って、出てきた言葉。左右前後にボールを配球してフェデラーを動かしても、バランスが崩れないのは当然だけれど、とても力強かったそう。ステップの歩幅もあり、あのコートのサイズが狭いくらいの印象を覚えたということでした。

ストローク戦ではフェデラーを揺さぶることはできないと判断して、ネットプレーで試みたものの「取られてもそんなところには決められないだろうっていうコースに決められていた」ということでした。それまでは、フェデラーは走るイメージはそんなになく、自分は動かず主導権を握って、相手を動かすことが非常に長けている選手。だからこそ、対戦をしてフェデラーのステップの大きさから来るのであろう足の速さを体感して意外に思ったのだとか。普通は追いつけないだろう、または、追いつくのがやっとでチャンスボールが上がってくるだろうと思うところに配球できたとしても、そのステップで早く追いついてフェデラーのコントロール下のボールになるのだなぁ、と鈴木さんのお話を聞きながら圧倒されました。

〈ボールの重さとサーブの読みにくさ〉

プロの選手たちは「相手の動作とフォーム、力を入れる加減でボールの重さ・速さを予測する」ということですが、フェデラーは「見た目以上にボールが強い」選手だそう。例えばナダルやアルカラスといった選手は見るからに『ボールが重そう!』と感じられますが、フェデラーはイメージよりちょっと上回る強さを感じたということでした。ストロークは簡単に捌いているように見えるから、軽いとは言わないにしてもどちらかというと速さの方が上回るかな?と思ったら、回転量も強いそう。たしかに、フェデラーはそんなにぐりぐりと回転をかけている印象にはありませんが、速さと重さを両立した球だったということでした。

そして、サーブに関しては「コースがわかりづらかった」そうです。私自身もフェデラーの過去の試合をみていると、サーブを打って、3球目攻撃で仕留めるといったパターンが非常に多いと感じていました。『サービスのコースの読みづらさ』と『速く重いストローク』という強い武器によってあの得点パターンが量産されていたのだと納得しました。当時の試合を振り返り、「あまりにも簡単に決めるので、『トップ選手相手になんでそんな簡単にやるの?』と多くの選手が思っていたと思います(笑)」と話してくれました。

〈現役終盤のフェデラーの華麗さ〉

どんな選手も、テニスを始めてから終えるまでプレースタイル、プレーのイメージが一定の選手はいないのではないでしょうか。技術力の向上、フィジカルの強化、ランキングが上がって研究されたから、引き出しが多くなったから、怪我、年齢・・・理由やきっかけを上げ始めたらキリがないほどだと思います。常に選手たちはその時にできる精一杯の中、成長し、変化していっているのです。フェデラーも例外ではなく、年齢を重ねるにつれて少しずつ変化してゆきました。

「すごくスマートなテニスをするな、といった感じに変わっていった。僕が対戦した頃のフェデラーは力強くて若々しいというか、荒々しいというか・・・そういったテニスをしていたけれど、年齢を重ねるにつれて余分なものが削ぎ落とされていった。その時のフェデラーの年齢・体力・技術でどう戦うか?というのをみせてくれた」と鈴木さんは話してくれました。よく『いつのフェデラーが一番強いの』という話になり、いつも強いと思うけれど、華麗だなと思うのは終盤なんだそうです。特に鈴木さんが思い出深いと語ったのは、復活して全豪オープンの決勝でナダルと対戦した時のテニス。体力的には厳しいと思っていたけれど、錦織選手とファイナルセットまでいって勝利し、ナダルともファイナルまでいっても「あそこまで動けるんだ」と一連の復活劇に感動したということでした。

2022年でフェデラーは引退しましたが、今後もずっと語り継がれる選手であることは間違いないと思います。数多くあるフェデラーの名勝負、鈴木さんの感じたフェデラーの素晴らしい点に注目しながら見返してみてはいかがでしょうか。

(川又智菜美)

※写真はフェデラー(左)鈴木貴男(右)
(Photo by Getty Images)

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川又智菜美

川又智菜美

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WOWOWアナウンサー。慶応大学出身、テニスが大好きなアナウンサーです。
【@w_tennisworld】でテニスについて #ちなみにテニ活 でつぶやきます!

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