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フェデラー、子供たちへの人生のメッセージ「時には一歩下がっても二歩前進する」

写真はUNIQLO LifeWear Day TOKYO2022で会見をするフェデラー

2022年9月15日、ふと開いたSNSで知ったフェデラー選手の引退。 俗にいう“フェデラー全盛期”をリアルタイムでは知らない私も、動揺し「もうウィンブルドンの芝の上で試合をするフェデラーをみられないのか」と理解して、涙が溢れました。あの日、我々テニスファンに与えられた衝撃は計り知れないものでした。そんな中、日本のテニスファンに舞い込んできた“フェデラー来日イベント”という情報。「生のフェデラーを日本でまたみられる!」と数多くの方が応募したと思います。その中で幸運な方々が参加することができたUNIQLO LifeWear Day TOKYO2022が引退発表からわずか2ヶ月後、有明コロシアムにて開催されました。

ジュニアテニスセッションでは、誰よりも楽しそうに無邪気な笑顔で子供達に混ざってプレーするフェデラーの姿がありました。遊び心も交えつつ存分にフェデラーの持つテクニックを披露し、観客からも歓声が上がります。また、トップジュニアに対しては真剣にそれぞれにジェスチャーを加えながらアドバイスする姿も見受けられ、彼のテニスに対する愛を改めて感じました。これから無限の可能性を秘めている子どもたちとテニスの象徴とも言えるフェデラーのセッションは参加をしていないで見ているだけなのに、いつまでも続いて欲しいと思うほどでした。 

フェデラーはイベント終了後、次世代を担う子供たちに対して伝えたい想いを語ってくれました。 「いつも自分の子供たちにも、”Shoot for the stars, and land on the moon(星に向かって月に着陸しよう)”と言っています。できるだけ遠く、高くを目指すことをトライしてほしいということです。やはり夢というものは、叶うもので、もちろん最大限努力をしなくてはならないし、親やコーチたちが正しい方向に道を作ってあげることが必要です」「継続して少しずつ上手になっていき、一歩下がっても二歩進んでいくことをしていってほしい」

その言葉通り、自身は常に高いところを目指しテニス界に君臨したフェデラー。現役を退いた今だからこそ感じることができた”プロテニスプレーヤー”としてのプレッシャーについても言及しました。 「プレッシャーが沢山ありました。テニス選手として常に、『次の練習』『次の試合』のことばかり考え続けてきました。『次の遠征』『次のための荷物まとめ』と頭から離れませんでした。常にそんなことが頭にあったのだと引退した今になってわかりました。そのストレスがなくなったというのが今の状況です」「これらを考えなくて良いことで気が軽くなり、普通に生活することができるようになりました。25年ぶりの感覚です。これが良いか悪いかわかりませんが、(引退して)一番大きく変わったところです」

テニス選手がツアーで世界をまわるということは、私たちの想像をこえるストレスやプレッシャーがかかることだと思います。まず、家に自由に帰れない、そんな中で勝ってポイントを得ていき、負けたらすぐ次の遠征に向かわなくてはならない。家族や大切な人たちと離れてツアーを回っていたら、心細くなった瞬間もすぐに会うこともできません。しかし、その過酷とも言える環境のもとで素晴らしいパッションを持ち、プレーをしてくれる選手たちに私たちテニスファンは惹かれてならないのです。そして、その姿に憧れて、トッププロを目指す子供たちも数多くいます。そんなジュニアに向けてフェデラーはアドバイスをしてくれました。

「まず第一に、プロセスをエンジョイしなくてはなりません。仕事だとは思わないくらいエンジョイすることが必要です。そして第二としては、時には負ける時ももちろんあるけれど負けることも必要だし学ぶことがあるということです。人としても選手としても成長することができます。特にテニスは全てのポイントで勝つことはできません。時には50.1%のポイントを得ることで試合に勝てるかもしれないというスポーツです。重要なのは、ベストじゃない時に勝つということ。とても調子の良い日もあれば、ショッキングな日もあります。そんな日を、まあまあな日くらいにして、その上で結果として良い形にもっていくことです。平均値を上げていかなくてはなりません。そのためには、とにかく練習こそが自分のベストへ導きますし、他の人からリスペクトされると思っています。コーチや親が言っていることで、自分の中で「これだ!」というものを掴むことが必要です。他の人がやってくれることではないので、自分で選択をしなくてはなりません」

今回フェデラーが会見で語った言葉を聞いていて、私はフェデラーの人生論や価値観を垣間見た気がしました。フェデラーが人生を送る上で、またはプロ生活を送る上でどういうことを大切にしてきたかを、後続の若き芽に伝える形ではありましたが知ることができました。『終わってみたら感じた』という現役時代のプレッシャーも、フェデラーは楽しめていたのです。そう思えることこそがフェデラーがフェデラーたる所以ではないかと妙に聞いていて私は納得しました。

最後に「本当にツアーが大好きでした。10年、15年時間を戻すことができるのであればもう一度やります。このように感じるのは不思議ですが、今後の人生でずっとこう言い続けると思います」と語ってくれたフェデラー。時を戻しても同じ道をたどりたいと思えるように、子供たちにはエンジョイしながら星を精一杯目指して行ってほしいです。

(川又智菜美)

※文中写真はUNIQLO LifeWear Day TOKYO2022でジュニア選手たちと会話するフェデラー
(Photo by WOWOW)
※写真はUNIQLO LifeWear Day TOKYO2022で会見をするフェデラー
(Photo by WOWOW)

川又智菜美

川又智菜美

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WOWOWアナウンサー。慶応大学出身、テニスが大好きなアナウンサーです。
【@w_tennisworld】でテニスについて #ちなみにテニ活 でつぶやきます!

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