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「いつか家族席に…」ジュニアランキングを急上昇させた添田栞菜が見る夢

女テニ未来応援の添田栞菜選手

“度胸がある”
添田栞菜は周りからよくそう言われるという。

大きく身体を捻ったテイクバックから、迷いなく振り出されるバックハンドは、叔父である添田豪のDNAを受け継ぐ。今年の春から通信制の高校を進路に選び、プロへの道を歩み始めたことにおいても、思い切りの良さがうかがえる。遠征先では一人、ジャージ姿で外食するほど物怖じしない…。

添田は『リポビタン Presents伊達公子×YONEX PROJECT』の選抜選手の中でも、大抜擢と言えるだろう。国内ジュニア大会では、関東大会の早いラウンドで負けており、全国大会の大きなタイトルも獲得していない。しかし、このメンバーに選ばれたことが、大きく彼女の方向性を変えた。

「プロジェクトに選ばれてから、一気にテニスも考え方も変わりました。あまり結果も出ていなかったし、プロというイメージもできていなかったのですが、トップを経験してきたコーチの話を聞くことによって、知らなかったことを深く知ることができているし、色々なアドバイスをもらえるのがありがたいです」

コーチから指導を受ける添田栞菜

また、通信制の高校を選ぶことにおいても「正直不安はあったのですが、『今の結果は気にしなくてもいいけど、やるなら中途半端ではだめ』といったアドバイスを豪くんからもらい、もう100%でやろうと、自分で決断しました」と、目を輝かせる。

拠点とする荏原SSCでは、女子のプロ選手らと一緒に練習しながら技術に磨きをかけ、それ以外の時間は勉強にあてている。最近は結果へと繋がってきており、昨年までITFジュニア、G5で予選、もしくは1回戦敗退だった戦績が、今年8月のタイ(G5)では本戦準優勝という戦績を収める。10月の「ITF関東国際ジュニアテニス(G3)」ではダブルス優勝、大阪の「世界スーパージュニア(GA)」では、シングルスで2回戦へと進んだ。

2023年のグランドスラムジュニアの予選を目指す添田にとっては、大阪で海外選手と対戦できたことは、良い経験になったという。

「ダブルスで対戦した選手は身体が大きくて、自分が渾身のサーブを打ったと思っても、それより速いリターンが返ってきたし、前衛にいた時は顔のすぐ横を通ったボールに手も出ませんでした。でも、こういう試合を今のうちに経験できたのは大きいし、まだまだ頑張らないと、という気持ちになりました」

大阪の結果によって、849位だったランキングは、一気に608位(10月17日付)まで上がっており、目標に大きく近づいた。添田は「やっとランキングも上がり、出られる大会の幅も広がってきたので、あと300位くらい上げたい」と、意欲も十分だ。

そして、着実に前に進む添田は、当時中学3年生だった自分の決断を信じ、後押ししてくれた家族に感謝する。

「自分でもよく決めたなあと思うくらいなので、両親は認めてくれて本当にありがたいです。おじいちゃん、おばあちゃんも遠征の費用とか経済的にもサポートしてくれているので、いつか家族席に座って、試合を見てもらえたらいいな」

持ち前の度胸を武器に、その夢もきっと叶えていくだろう。

(保坂明美)

※記事中画像2枚目:クレジット/ヨネックス

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保坂明美

保坂明美

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テニス雑誌「スマッシュ」の編集長を13年間務める。現在は独立し、WEBサイト「Tennis.jp」の管理や、テニスの技術解説企画、選手関連記事の執筆、本の編集、大会の広報業務などを手がけている。

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