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グランドスラム王座への道~第9回 不撓不屈のレジェンド国枝慎吾

「ウィンブルドン」での国枝

このシリーズではこれまでにグランドスラム制覇を遂げたチャンピオンたちや、これから優勝を目指す選手たちをランダムに取り上げ、それぞれの「王座への道」を紹介していきたい。今回ご紹介するのは、四大大会とパラリンピックを制し、生涯ゴールデンスラムを達成した車いすテニス界のレジェンド、国枝慎吾(日本/ユニクロ)だ。

1984年2月21日生まれ、現在38歳の国枝は9歳の頃に脊髄腫瘍を発病し車いす生活を送るようになる。それから2年後、国枝の住んでいた千葉県柏市に車いすテニスのレッスンを開催しているクラブがあったことや母親の勧めをきっかけに車いすテニスを始めた。

車いすテニス界では、2008年まで最もグレードの高い大会はスーパーシリーズとされ、「全豪オープン」「ジャパンオープン」「ブリティッシュオープン」「全米ウィールチェア」の4大会のことを指していた。

国枝が初めて出場したスーパーシリーズは2002年2月の「全豪オープン」で、2回戦まで進出。初優勝を果たしたのはそれから4年後の2006年、母国で開催された「ジャパンオープン」でのこと。優勝までの4試合で落としたゲーム数はわずか9つで、失セットは0と圧倒的な強さで栄光を掴んだ。その勢いのまま同年10月の「全米ウィールチェア」でもタイトルを手にして、アジア人では初となる世界ランキング1位に輝いた。翌年は全てのスーパーシリーズを制して、年末ランキング1位の座に就いた。

国枝の活躍は世界中に知れ渡り、2007年に日本の記者が当時の世界王者ロジャー・フェデラー(スイス)になぜ日本では世界的なテニス選手が生まれないのかと質問したところ、フェデラーが「日本には国枝がいるじゃないか」と返答したという有名なエピソードもある。

2019年エキシビションマッチでのフェデラー

2009年にルール改正があり、車いすテニス界でも「全豪オープン」「全仏オープン」「ウィンブルドン」「全米オープン」が最も格付けの高い大会となると、国枝はこの年にダブルスのみの開催だった「ウィンブルドン」を除いた残り3つのグランドスラムのタイトルを総なめに。また、同年4月に車いすテニス選手として日本人初のプロへと転向し、テニス一本で生きる道を選んだ。

翌2010年から昨年までのグランドスラムでは、「全豪オープン」で7度、「全仏オープン」で4度、「全米オープン」で6度優勝し、車いすテニス界で圧倒的な地位を確立した。そして昨年の「東京パラリンピック」ではシングルスで3つ目の金メダルを獲得。しかし得た物が大きい分、その反動も大きく、昨年の「全米オープン」優勝後にはテニスへのモチベーションを失ったという。

そんな状況でも今年の「全豪オープン」で決勝に進出すると、アルフィー・ヒュウェット(イギリス)を相手に「キャリア最高のテニスができた」と自画自賛するほどのプレーを披露し、2年ぶりに大会を制覇。「自分自身がどういったテニスをしていきたいか、どう成長していきたいか」を思い直すきっかけとなった。

再び火がついた国枝は、続く「全仏オープン」でも2018年以来のタイトルを獲得。そして過去4度出場して1度も優勝したことのなかった「ウィンブルドン」の決勝でヒュウェットと再度対戦することに。そこで国枝は3時間20分にわたった熱戦を4-6、7-5、7-6[10-5]で制し、悲願の初優勝を成し遂げるとともに生涯ゴールデンスラムを達成した。

のちに国枝はInstagramで「最後に残ったタイトルとなっていただけに、格別です。このタイトルを獲得しないままテニス生活が終わることも覚悟していました。昨年の“東京パラリンピック”の後、燃え尽き症候群気味になり引退を何度も考えましたが、続けて本当に良かった」と素直な心境を吐露。

年間グランドスラムと大会3連覇がかかっていた今年の「全米オープン」では、決勝でヒュウェットにリベンジを果たされて準優勝。しかし試合後に国枝は「来年リベンジしたい。こんなに落胆したのは久しぶり。こうした気持ちは次のステップに行くために必要なものだと思うから、もう一度チャレンジしたい」と語り、飽くなき向上心を見せていた。

今後、国枝は今年10月に3年ぶりに開催される「楽天・ジャパン・オープン・テニス・チャンピオンシップス2022」(日本・東京/10月3日~10月9日/ハードコート)への出場を予定している。前回大会では3試合を戦い、合計6ゲームしか落とさず、圧倒的な強さで優勝。ディフェンディングチャンピオンとして臨む今年、日本のファンにどんなプレーを見せてくれるのか期待が高まる。そして来シーズン、車いすテニス男子シングルスではまだ誰も成し遂げていない年間グランドスラムという偉業を達成できるのか、これからも注目していきたい。

(WOWOWテニスワールド編集部)

※アイキャッチ画像:「ウィンブルドン」での国枝
 (Photo by Sebastian Frej/MB Media/Getty Images) 
※記事中写真1枚目: 2019年エキシビションマッチでのフェデラー
 (Photo by Marcelo Endelli/Getty Images)
 ※記事中写真2枚目:※写真は「全米オープン」での国枝
 (Photo by Julian Finney/Getty Images)

WOWOWテニスワールド編集部

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