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木下晴結がグランドスラムジュニアで見つけた現在地

木下晴結選手

「すごく悔しかった」

 昨年の秋以降、ITFジュニアで好成績を上げ、グランドスラムジュニアへの切符を手にした木下晴結(きのした・はゆ)は、今年最後のグランドスラム、全米オープンのシングルスで1回戦敗退を喫した後、そう語った。

『リポビタン Presents伊達公子×YONEX PROJECT』の選抜選手の中では、ITFジュニアランキング52位(9月19日現在)と、他の選手たちの目標となっている木下。今年はジュニアカテゴリーにおいて、全豪、全仏で予選を上がり、ウインブルドンでは、本戦ストレートインし、3回戦まで進んだ。

「全豪では初めての経験ということで、大会の雰囲気に飲み込まれてしまいました。でも全仏に出て、ウインブルドンではポイントはつかないけれど本戦で勝つことができました。全米は、本戦に出場できてポイントもつく。しかも得意なハードコートということで、高い目標を持って臨んでいたということもあったので…」

 そして冒頭の言葉へとつながる。

 これは、彼女の中で、グランドスラムはすでに「出られてうれしい」場所ではなくなっているということだ。

「アシュリー・バーティーに憧れた」という木下のプレーは、スライス、スピンの球種を操り、ネットで鮮やかにボレーを決める。15歳にしてショットの引き出しが多い。性格は「初めての人の前では人見知りするけど、コートではすごく負けず嫌い」だという。

現在は京都のLYNXテニスアカデミーを拠点に、テニスの練習を午前2時間、午後2時間、これにトレーニングが加わる。今年4月からは通信制の高校を選択し、計画的に勉強時間を設ける形をとり、プロに向かって歩みを進めている。

その中で、全米オープンは、自分への期待も含め、立ち位置を測れる重要な場所となった。

「大事な場面でのメンタルだったり、劣勢になった場面になった時にどれだけファイトして自分を鼓舞し、良いプレーを出せるかというところで足りない部分が見えました」

そう課題点を上げる中でも、1年間、グランドスラムを戦い抜いた表情は、明るさをたたえている。

「いい結果を出したいと思っていたのも、やっぱり自分のテニスのレベルが上がってきて、成長を感じていたからだと思うので、ポジティブに来シーズンへ向けて頑張っていこうと切り替えています」

 プロジェクトのキャンプでは、伊達公子の「頑張ることは当たり前、自分に限界を作らない」という言葉に刺激を受け、関西でもプロが所属するクラブへ足を運び、尾﨑里紗や加治遥らと練習をしているという。

 「世界のトップを経験し、ストイックで自分に嘘をつかない伊達さんのお話を聞けることは貴重ですし、プロと打つと『上には上がいる』ということを改めて感じます」

そしてこの秋は、さらなる成長を目指し、七尾(能登)を始めとする一般のITF予選に挑戦し、昨年優勝した世界スーパージュニアでは連覇を目指す。

「スライスだったりネットプレーでフィニッシュしたり、多彩さを使ってプレーしている時が、一番自分の持ち味が出ているときですし、あとは足を動かして、タフにプレーを続けられるところ。相手にどんなボールを打たれても走りまくってファイトする姿勢を見てもらえたらうれしいです」

悔しい敗北で見えた課題を胸に、新しいステージを目指し、木下はすでに前を向いている。

(保坂明美)
記事上写真:奥田裕介 LYNX Tennis Academy
アイキャッチ・記事下写真:ヨネックス

保坂明美

保坂明美

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テニス雑誌「スマッシュ」の編集長を13年間務める。現在は独立し、WEBサイト「Tennis.jp」の管理や、テニスの技術解説企画、選手関連記事の執筆、本の編集、大会の広報業務などを手がけている。

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