先日、元世界ランキング93位のアンドレイ・マルティン(スロバキア)が、ドーピングの疑いで出場停止を言い渡された。32歳のマルティンは、6月7日の検査で使用禁止薬物の陽性反応が出たが、故意ではなかったと主張。出場停止期間は未定となっている。今回は、ドーピングによる出場停止の経験を持つ5人の選手を紹介する。スポーツウェブメディアSportskeedaが伝えている。
「ドーピング検査で陽性反応がでたというニュースを見て、とてもショックを受けた」とマルティンは英Express紙に語った。「使用禁止薬物のリストに乗っている物を僕が意図的に摂取したとする考えを、きっぱり否定する。数少ないサプリメントしか摂っていないし、過去5年間それらを変えていない」
「トレーニングや試合には、常に公正に取り組んできた。なぜなら、公正さや誠実さのみが、自分を真の勝者にさせてくれるからだ。それに、スポーツの結果を“変えよう”とする禁止行為すべてを、僕は強く非難する。僕には現在の状況が全く理解できない。これまで何度も検査を受けてきたが、毎回陰性という結果が出ることに疑いを持ったことは一度もない」とマルティンは述べた。
だがドーピングによる出場停止処分を受けた選手はマルティンだけではない。例えスター選手であっても、検査で陽性が出れば厳しい処分を受けることになる。それでは、これまでにドーピングを理由として出場停止処分を言い渡されたスター選手5人を見てみよう。
1. マリア・シャラポワ(ロシア)
キャリアグランドスラムを達成し、輝かしい現役時代を送ったマリア・シャラポワ(ロシア)は、当時人気・実力共にトップクラスの選手だった。しかし、薬物検査でメルドニウムの陽性反応が出たことで、2016年に2年間の出場停止処分が言い渡された。メルドニウムは、その年の1月にITF(国際テニス連盟)の禁止薬物リストに加えられたばかりだった。
これに対し、シャラポワはマグネシウム欠乏症と糖尿病の症状を治療するためにこの薬物を摂取していたと主張。その後、スポーツ仲裁裁判所による検証の結果、当初2年間とされていた出場停止期間は15ヶ月へ短縮された。シャラポワは2017年4月にツアーに復帰し、2020年に引退するまで現役生活を続けた。
2. マルチナ・ヒンギス(スイス)
マルチナ・ヒンギス(スイス)はテニス史に残る比類なき名選手の一人だが、一方でドーピングによる出場停止という事態も経験している。2007年、ヒンギスはコカインの代謝物質、ベンゾイルエクゴニンの陽性反応が出た。その結果、ヒンギスは2年間の出場停止処分を受けた。
だが、この時点ですでにヒンギスは怪我による引退を発表していた。その後、ヒンギスは2013年に現役に復帰。ダブルスで大活躍し、混合も含めて10度のグランドスラム優勝と世界ランキング1位の座を手にした。
3. マリン・チリッチ(クロアチア)
マリン・チリッチ(クロアチア)はツアーでも人格者として知られているが、彼もドーピング違反とされてテニスから離れていた時期がある。2013年、チリッチの検査サンプルから呼吸器系に影響を与えるニケタミドの陽性反応が出て、9ヶ月の出場停止処分を受けた。
だがチリッチは、薬局で購入したグルコースのタブレットに薬物が混入していたとして不服申し立てをした。その後、スポーツ仲裁裁判所により、出場停止期間は4ヶ月に短縮された。チリッチは2014年にツアーに復帰。その年に「全米オープン」を制している。
4. リシャール・ガスケ(フランス)
グランドスラで3度準決勝に進出した実力者リシャール・ガスケ(フランス)は、2009年にコカインの陽性反応が出た。しかし、ガスケは意図的な摂取ではなかったと主張。当初、ガスケは1年間の出場停止処分を言い渡された。
その後、独立法廷がコカインの意図的摂取はなかったと決定。1年の停止処分は撤回され、ガスケは6週間出場停止を受けたのみでツアーに復帰した。
5. バーボラ・ストリコバ(チェコ)
ダブルス元世界1位のバーボラ・ストリコバ(チェコ)は、2013年2月、禁止物質のシブトラミンの陽性反応により6ヶ月の出場停止処分を言い渡された。ストリコバは、薬物が誤って体内に入ってしまったと主張。ITFもストリコバに重大な落ち度はなかったと結論づけた。
それでもストリコバ側に過失はあったとして、2012年10月から2013年4月まで遡って出場停止処分を受けることになった。この間のストリコバの結果は無効とされ、得られた賞金も返金するよう命じられた。ストリコバは、2013年4月の「WTA500 シュトゥットガルト」でツアーに復帰した。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は2016年「全豪オープン」でのシャラポワ
(Photo by Michael Dodge/Getty Images)