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日本テニス界の歴史を変えた錦織圭 ~グランドスラム王座への道 第7回~

2021年全米オープンテニスの錦織圭(Photo by Elsa/Getty Images)

このシリーズではこれまでにグランドスラム制覇を遂げたチャンピオンたちや、これから優勝を目指す選手たちをランダムに取り上げ、それぞれの「王座への道」を紹介していきたい。今回ご紹介するのは、2014年の「全米オープン」でアジアの男子選手として初めてグランドスラムで準優勝を果たし、世界ランキングで4位まで上り詰めた錦織圭(日本/ユニクロ)だ。

1989年12月29日生まれ、現在32歳の錦織は5歳からテニスを始めると、松岡修造が主宰するジュニア育成プロジェクト「修造チャレンジ」や、アメリカのフロリダにあるIMGアカデミーでのテニス留学を経て才能を伸ばしていった。

17歳だった2007年にプロへと転向し、翌2008年2月に「ATP250 デルレイビーチ」で世界ランキング244位ながらもツアー初優勝。予選からの参加にもかかわらず破竹の勢いで勝ち上がり、決勝では世界12位だったジェームズ・ブレイク(アメリカ)から逆転勝利を収め、世界に「錦織」の名を知らしめた。また、日本人の男子選手のツアー優勝は、1992年のソウル大会の松岡以来、16年ぶり2人目だった。

初優勝の4ヶ月後、世界103位まで順位を上げていた錦織は「ウィンブルドン」でグランドスラム本戦デビューを果たす。1回戦では当時世界53位のマーク・ジケル(フランス)を相手にセットを先取したが、第2セット終了後に怪我で棄権。しかしこの年、錦織のグランドスラムでの挑戦は終わらなかった。2ヶ月後に行われた「全米オープン」では3人のトップ100の選手を退け、4回戦まで駒を進めたのだ。特に3回戦では当時世界4位のダビド・フェレール(スペイン)をフルセットの末に下しており、錦織はのちにこの試合を「最も感動した試合の1つ」と述べている。そしてこの結果、オープン化以降「全米オープン」で4回戦まで進んだ初の日本人となった。

2008年全米オープンでの錦織圭(Photo by Matthew Stockman/Getty Images)

プロ転向後まもなく日本男子テニス界の歴史を次々と塗り替えていた錦織は、2011年10月に順位を47位から30位へ上げ、松岡が保持していた日本人最高ランク(46位)を更新、このシーズンは最終的に25位で終えた。グランドスラムでは2012年の「全豪オープン」でベスト8、2013年の「全豪オープン」と「全仏オープン」で4回戦進出と、コンスタントに結果を出し始めていた。

そして迎えた2014年、錦織はキャリア最高のシーズンを送ることとなる。2月に「ATP250 メンフィス」で通算4つ目のツアータイトルを手にすると、約2ヶ月後の「ATP500 バルセロナ」ではクレーコートで初優勝。続く「ATP1000 マドリード」ではラファエル・ナダル(スペイン)との決勝途中にまたもや怪我でリタイアとなったが、準優勝を果たした。

そして迎えた「全米オープン」、それまでグランドスラムのベスト8に進出したことは一度だけだった錦織が一気にファイナルまで勝ち上がる。1回戦から3回戦までセットを落とすことなく勝ち進んだ錦織は、4回戦で第5シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)を、準々決勝では第3シードのスタン・ワウリンカ(スイス)を破った。この2試合はどちらも4時間越えのフルセットとなり、錦織の粘り強さが際立った。実際に錦織はグランドスラムの5セットマッチでの勝率は83.3%と、現役選手の中で最も高い勝率を誇る。

準決勝では世界王者でビッグ3の一角、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)と対戦。4回戦と準々決勝では第1セットを落とす展開だったが、この日は立ち上がりから巧みな攻撃を武器にセットを先取。第2セットではジョコビッチにセットを取り返されるも、第3セットからは錦織が力強いプレーでジョコビッチを押さえつけ、6-4、1-6、7-6(4)、6-3で勝利。日本人、そしてアジアの男子選手としてグランドスラムで初の決勝進出を決めた瞬間だった。錦織が両手で大きくガッツポーズをする姿はテニスファンならば忘れることのできない光景だろう。

大きな期待を背負って挑んだ決勝では「試合に入り込めなかった」と錦織が語るように、第14シードのマリン・チリッチ(クロアチア)を相手にこれまでの強さが出せずストレート負け。それでもこの準優勝という結果は、日本男子テニス界に今も燦然と輝いている。その後はグランドスラムで幾度もベスト8入りと継続して勝ちを重ね、2014年9月から2017年8月までの約3年間にわたり世界トップ10に君臨。2015年には世界4位に到達した。

その後、「全米オープン」でさらに2度(2016年・2018年)ベスト4に進出。2018年大会では、準々決勝で2014年大会の決勝で敗れた因縁の相手チリッチをフルセットの末に下しており、この活躍によりシーズン終盤にはトップ10へと返り咲いた。2019年シーズンはグランドスラム3大会で準々決勝まで駒を進める活躍を見せたが、新型コロナウイルスの感染拡大後は怪我や隔離生活もあり思うようなプレーができずにいた。

2018年全米オープンでの錦織圭(Photo by TPN/Getty Images)

そして今年1月、昨年から股関節の問題に苦しんでいた錦織は内視鏡による手術を受けて、ツアーから長期離脱をすることに。しかし現在では「ATP250 サンディエゴ」(アメリカ・サンディエゴ/9月19日~9月25日/ハードコート)や「楽天ジャパンオープン」(日本・東京/10月3日~10月9日/ハードコート)への出場を発表しており、復帰の時が近づいているのは確かだ。リハビリ期間中に「トップ10に戻れるようにしたい」と目標を掲げた錦織が、再びグランドスラムの舞台で輝き、夢を見させてくれることを日本のテニスファンは待ち望んでいる。

(WOWOWテニスワールド編集部)

※アイキャッチ写真:2021年全米オープンテニスの錦織圭(Photo by Elsa/Getty Images)
 記事上部写真:2008年全米オープンでの錦織圭(Photo by Matthew Stockman/Getty Images)
 記事中写真:2014年全米オープンでの錦織圭とマリン・チリッチ(Photo by Julian Finney/Getty Images)
 記事下部写真:2018年全米オープンでの錦織圭(Photo by TPN/Getty Images)

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