ニュース News

元悪童マッケンロー「多くの人はラケットを壊さないナダルより僕に共感するのでは」

写真は2021年「レーバーカップ」でのマッケンロー

ジョン・マッケンロー(アメリカ)は、おそらくテニス界で最も有名な往年の問題児だが、ラファエル・ナダル(スペイン)など現在のスター選手たちのことを「信じられないくらい良い人」だと考えているという。マッケンローの意見では、テニスに関しては、良い人であることが必ずしも良いわけではないそうだ。スポーツウェブメディアSportskeedaが伝えている。

ナダルはテニス界で特に評判が良い選手だが、それはコートで披露される素晴らしいテニスの腕前だけが理由ではない。ナダルが「全仏オープン」で他を圧倒する14度の優勝を飾っていることは有名だが、彼のファンの前での振る舞いも同じくらい称賛を受けている。

そんなナダルの有名な逸話の一つとなっているのが、彼がこれまでのキャリアで一度もラケットを壊したことがない、という事実だ。ナダルは幼少期から、ラケットを壊すという行為はリスペクトに欠けるという考え方をコーチであった叔父のトニ氏から叩き込まれたという。だが、マッケンローの考えは異なる。

自身のドキュメンタリーの公開に合わせて週刊誌The Weekのインタビューを受けたマッケンローは、ナダルのような紳士はテニス界では例外的な存在だと語った。テニスのように感情が高まりやすいスポーツでは、マッケンローやジミー・コナーズ(アメリカ)のような短気な選手のほうが多く、ビヨン・ボルグ(スウェーデン)のように冷静さを失わない選手は珍しい、とマッケンローは考えている。グランドスラムで7度優勝したマッケンローもボルグのように振る舞おうとしたことがあるそうだが、冷静にテニスをすることは彼には無理だったそうだ。

「[今の選手たちは]信じられないくらい良い人たちに見える。ラファエル・ナダルはこれまでの人生で一度もラケットを壊したことがないと言っている。でも一般的に、人というのは、少なくともテニスに関しては、感情を見せることがなかったボルグより、僕やコナーズみたいだと思う」とマッケンローは語った。

「試合はとてもイライラするし、感情的にならないなんて難しい。“練習に行って、2時間ボルグみたいになってやる”って思うんだけど、5分くらいしかもたない。僕のDNAの中には無いんだよ」

元世界王者のマッケンローは、徐々に自分の子供っぽい性格を受け入れるようになり、やがてそれが彼の人生を完全に変えてしまったと語った。マッケンローは、人々に問題児としてしか認識されていないことを後悔しているという。テニスコートでは問題行動を起こしたことがあるものの、コートを出たマッケンローは、他の人と変わらない良い人だったのだ。

「だんだんと悪役みたいな枠にはまっていった。もしかしたら自分でも気付かないうちにね。そして、制御の効かないモンスターになっていった。人々はだんだんと僕を認識するようになった。“あなたがあの問題児ですか?”ってね。僕の人生を完全に変えてしまったよ。“彼らは僕を理解していない、僕は良い人間なのに”と思うようになった。でももちろん、コートの上では良い人じゃなかった時もあったんだけれどね」

対戦相手が、比較的身体の小さなマッケンローやコナーズを恐れた理由は何だったのか。マッケンローは、身体つきは関係ないと語る。重要なのは身体から放たれる気持ちの強さで、対戦相手に恐怖心を植え付けるのにとても効果的だという。

「コナーズはそこまで大きな選手じゃない。僕も大きくはなかった。身体から強い気持ちを発しながら対戦相手と向き合う。それが彼らを恐れさせるんだ」とマッケンローは語った。

続けて、マッケンローはボルグのあまりに早い引退と、それが自身のキャリアに与えた影響について触れた。もっとボルグと対戦できなかったのが残念だったそうだ。10代の頃に突如として現れたボルグは、テニス界に旋風を巻き起こした。世界中がボルグに夢中になり、テニスの人気も急上昇した。

元世界王者のボルグはオープン化以降初めてグランドスラムで11度優勝を飾った選手となるなど、多くの大会で活躍した。しかしプロになって約10年、26歳の若さで引退してしまった。

マッケンローとボルグの対戦成績は7勝7敗で並んでいる。2人の最も印象的な試合は1980年の「ウィンブルドン」決勝だろう。テニス史上屈指の名勝負とも言われるこの決勝では、ボルグが接戦の末マッケンローを退け、世界中のファンを熱狂させた。

マッケンローは、ナダルとノバク・ジョコビッチ(セルビア)の素晴らしいライバル関係に言及し、もしボルグがあれほど引退を急がなければ、自身とボルグも同じような関係を築けていたのではないかと語った。ナダルとジョコビッチの対戦成績は30勝29敗と、僅差でジョコビッチがリードしている。

「もちろん(ボルグがあれほど早く引退しない方が)僕にとっても、テニス界にとっても良かっただろう。本当に、大きな穴だった。ジョコビッチとナダルはこれまで59回試合を行っている。とんでもない回数だ。ボルグと僕は14回だけ、本当に残念だよ」

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は2021年「レーバーカップ」でのマッケンロー
(Photo by Adam Glanzman/Getty Images for Laver Cup)

WOWOWテニスワールド編集部

WOWOWテニスワールド編集部

facebook twitter

速報や最新ニュース、グランドスラム、ATP、WTAなどの大会日程と試合結果情報など、テニスのすべてをお届けします!

WOWOWテニスワールド

  1. Home
  2. ニュース
  3. 元悪童マッケンロー「多くの人はラケットを壊さないナダルより僕に共感するのでは」