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グランドスラム王座への道~第6回 道を切り開き世界の頂点に 大坂なおみ

2021年全豪オープンで優勝する大坂なおみ

このシリーズではこれまでにグランドスラム制覇を遂げたチャンピオンたちや、これから優勝を目指す選手たちをランダムに取り上げ、それぞれの「王座への道」を紹介していきたい。今回ご紹介するのは、グランドスラムを4度制し、アジアの選手として初の世界ランキング1位の座に就いた大坂なおみ(日本/フリー)だ。

1997年10月16日生まれ、日本人の母親とハイチ系アメリカ人の父親を持つ大坂は、2013年の9月にプロへと転向。その翌年の7月にスタンフォード大会でツアー本戦デビューと初勝利を手にしている。

 初めてグランドスラム本戦に出場したのは、2016年の「全豪オープン」。当時世界127位だった大坂は、予選3試合を全てストレートで勝利。本戦では世界104位のドナ・ベキッチ(クロアチア)、世界21位のエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)を破り、初出場ながら3回戦まで駒を進めた。そして同年の「全仏オープン」と「全米オープン」でも3回戦に進出。シード選手からもセットや勝利を奪い、「将来のスター」として注目度を高めていった。

それからグランドスラム決勝の舞台に立つまで、そう時間はかからなかった。2018年、大坂は得意とするハードコートで飛躍を遂げる。まず「全豪オープン」でグランドスラム初の4回戦に進出、3月の「WTA1000 インディアンウェルズ」では世界1位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)らを破りツアー初タイトルを獲得という結果を残した。続く「WTA1000 マイアミ」では憧れの元世界女王セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)と初めて顔を合わせ、6-3、6-2で勝利した。そして迎えた「全米オープン」では1回戦から安定した戦いぶりを見せ、決勝までに落としたセットはわずか1つ。

決勝で顔を合わせたのは、およそ半年前にも対戦していたセレナ。セレナは同大会で優勝すればマーガレット・コート(オーストラリア)が持つグランドスラム歴代最多優勝(24回)に並べるチャンスだった。そんな試合は、セレナが観客席のコーチからコーチングを受けたとして警告を受けたことをきっかけに荒れ模様に。判定に納得できないセレナが審判に猛抗議をする中、地元の観衆も後押しするように大きなブーイングを飛ばし、会場は異様な雰囲気となった。そんな状況下でも、大坂は集中力を切らさず6-2、6-4のストレートで勝利し、日本人初のグランドスラムシングルス優勝という快挙を成し遂げた。

しかし、会場からのブーイングは表彰式でも鳴りやまなかった。大坂は顔をサンバイザーで隠して涙を流す姿も見られ、スピーチでは「みんながセレナを応援していたことは知っている。こんな終わり方になってしまってごめんなさい。ただ試合を見てくれてありがとう」と勝利の喜びではなく謝罪を述べ、多くの人の胸を打った。

大坂は、世界4位として臨んだ翌年の「全豪オープン」で5人のシード選手を倒し、グランドスラム2大会連続優勝。そして1月28日付の世界ランキングで、アジア人として初の世界女王の座に就いた。しかしその後は思うように結果を出せない日々が続き、2019年は3位でシーズンを終えた。

2020年、パンデミックによるツアー中断や太腿の怪我を乗り越え、大坂は再び「全米オープン」の決勝に戻ってきた。同時期にアメリカをはじめとする世界各地で人種差別反対運動「Black Lives Matter」が巻き起こっていた中、大坂も前哨戦を棄権する姿勢を示していた。大坂はさらに「全米オープン」では毎試合、差別で命を落とした人の名が記されたマスクを着けてコートに入場し、問題提起を行った。

決勝ではグランドスラムを2度制した経験を持つ、元世界女王のビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)と対戦。大坂は第1セットを落とすも、1-6、6-3、6-3で逆転勝利し、グランドスラム通算3度目の優勝を飾った。2年前、涙を見せていた姿とは対照的に、コートに寝ころび勝利を噛みしめていた姿が多くの人の記憶に残っているだろう。

表彰式でインタビュアーに、試合ごとに異なるマスクを着用することで伝えたかったメッセージは何かと問われた大坂は、「あなたがどんなメッセージを受け取ったのかが重要。より多くの人がこの件について話し合うようになることが目標なの」と回答。この勇敢でインパクトのある行動により、大坂は多方面から称賛を受け、影響力を持つようになっていった。

翌2021年の「全豪オープン」でも決勝まで勝ち進み、最後は第22シードのジェニファー・ブレイディ(アメリカ)を6-4、6-3で破り、グランドスラム優勝回数を4へと伸ばした。それ以来大会では優勝できていないが、今季はマイアミ大会で久々に決勝へ勝ち進んでいる。

「全仏オープン」以降はアキレス腱の怪我で離脱しているが、「全米オープン」に向けて8月のサンノゼ大会で復帰予定だ。得意のハードコートシーズン、どんな活躍を見せてくれるだろうか。


(WOWOWテニスワールド編集部)

※アイキャッチ写真:2021年全豪オープンで優勝する大坂なおみ(Photo by TPN/Getty Images)
 記事上部写真:2018年全豪オープンでの大坂なおみ(Photo by Mark Kolbe/Getty Images)
 記事中写真:2018年全米オープンでの大坂なおみとセレナ・ウイリアムズ(Photo by Tim Clayton/Corbis via Getty Images)
 記事下部写真:2020年全米オープンで優勝したあと寝転ぶ大坂なおみ(Photo by Al Bello/Getty Images)

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