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ウィンブルドンで引退のコールシュライバー「家族やファンの前ではもっと難しかっただろう」

写真は「全豪オープン」でのコールシュライバー

テニスの元世界ランキング16位のフィリップ・コールシュライバー(ドイツ)が、20年に及ぶ現役生活を振り返った。コールシュライバーは先日出場した「ウィンブルドン」予選を最後に現役引退を表明していた。ATP(男子プロテニス協会)公式ウェブサイトが伝えている。

2018年8月1日は、コールシュライバーにとって最も思い出深い日だ。午前中に、コールシュライバーは長年交際していたリナ・アルベルティさんと結婚。そして同じ日の午後、オーストリアのキッツビューエルに移動し、デニス・イストミン(ウズベキスタン)との2回戦を戦った。

「とてもユニークだったよ」とコールシュライバーは結婚式の日を振り返った。「少し体調が悪くて、その前日はプレーできなかったんだ。キッツビューエルに向けて、少し休養する必要があった」(コールシュライバーはその前年に同大会で優勝していた。)

「プロ意識の高い人間ならば、すべての行動はスポーツのためだ。でも、結婚式は覚えやすい日を選ばなきゃいけない。2018年8月1日は、とてもシンプルだ。この時だけは、結婚式の方が少し重要度が高かったよ!」

「ウィンブルドン」予選の1回戦でグレゴワール・バレール(フランス)に勝利したコールシュライバーは、ごく自然に引退を表明した。38歳のコールシュライバーにとって、その決断が納得のいくものであることを物語っていた。

「おかしかったのは、あまり公表するつもりはなかったことだ。『次はどうするんですか?』と聞かれて、『次はないよ、これが僕の最後の大会だ』と言った。“ウィンブルドン”で『多分引退するかも』なんて言う予定はなかった。ただその日、『うん、時が来た』と感じたんだ」 

これまで長い年月をツアーで過ごしてきたコールシュライバーは、あと数週間現役生活を延長し、今月祖国ドイツで行われる「ATP500 ハンブルク」を最後にするという決断もできた。しかし、「ウィンブルドン」予選の2回戦、ミカエル・ククシュキン(カザフスタン)との一戦が彼の最後の試合となった。コールシュライバーは満足しているという。

「僕を知る人なら分かるけど、大きなステージでさよならを言うのはあまり好きじゃない。むしろ、胸の内にとどめておきたい。大げさに祝われるのは好きじゃない。それに、友人や家族、ファンが応援している中、ハンブルクで最後を迎えるのはもっと難しかったと思う」

「[最後の]予選の試合の、最後の数ゲームではすでに涙がこみ上げていた。そこにもし声援を送ってくれる人がいて、ボックス席に妻や友人たちがいたら、大変だっただろう。だから、僕にとっては良い判断だったと思うよ」

コールシュライバーは、2002年にプロデビューしてからずっと安定した成績を残してきた。ツアー大会で478勝を重ね、2006年3月から2021年2月まで15年間トップ100位内にい続け、その大半をトップ50位内で活躍してきた。これほど長く現役を続けられた理由として、コールシュライバーは幸運、たゆまぬ努力、そして賢明なスケジュール管理を挙げた。

「もちろん、第一の要因は健康だ。僕はとても幸運で、これまでの人生で一度も手術を受けなかった。深刻な怪我はなかった。一貫して努力を続けてきて、最適な決断を下してきたこともあると思う。時には中断した方がいいこともあるんだ。それに、僕はテニス向きの体格をしていると思う。大きすぎず軽量で、運動能力に恵まれていると思う。おかげで、これだけ長く続けることができた」

生まれ持った身体能力と堅実な姿勢が自身のキャリアを支えてきたとコールシュライバーは謙虚に語った。2007年から2017年の間に、コールシュライバーは8大会で優勝。2012年7月には自己最高の世界ランキング16位に到達した。レジェンド級の選手たちと素晴らしい戦いを繰り広げたこともあった。コールシュライバーの功績を一つに絞ることはできない。彼が地道に積み重ねてきた実績が20年もの長い現役生活を形作ってきた。

「地元のミュンヘンで優勝できたこと、ロッド・レーバー・アリーナでアンディ・ロディック(アメリカ)とナイトマッチをしたこと、そしてラファエル・ナダル(スペイン)、ロジャー・フェデラー(スイス)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、アンディ・マレー(イギリス)といった選手のいる、テニス史上最も競争が激しいであろう時代にプレーできたこと。この時代にプレーできて幸運だった。もしかしたら、あの3人、4人がいなかったらもっといい成績を残せていたかもしれない。でも、彼らとプレーできてとても光栄だった」

「ATP250 ミュンヘン」で3度トロフィーを獲得しただけでなく、コールシュライバーは「ATP500 ハレ」や「ATP250 デュッセルドルフ」でも優勝している。すべて地元ドイツで行われた大会だ。さらに、以前住んでいたオーストリアでの「ATP250 キッツビューエル」でも2度優勝。またドイツ代表として出場した「デビスカップ」ではシングルスで20勝14敗と、コールシュライバーは地元ファンの声援を自分の力に変える能力があるようだ。トップ選手の中には地元での大会が苦手な選手もいるが、コールシュライバーは逆だった。

「プレッシャーがかかると、すごく集中できる。プレッシャーはかかるけど、声援ももらえる。だからそのプレッシャーにどう対処するか考えて、良いエネルギーを全部取り込むんだ。コンディションも好きだった、ミュンヘンとキッツビューエルは結構似ていてね。僕はどちらかというと高地に強い。14歳の頃からミュンヘンで練習していたから、ほぼ完璧に慣れているんだ。たまにミュンヘンでのハイライト動画を見直すことがあるけれど、最高の状態の自分のプレーを見るのはすごく楽しいよ」

引退して数日は違和感があったそうだが、最近はツアーから離れた生活に慣れてきたという。

「今は大丈夫かな。引退するという考えは1年かそれ以上前からあった。数日間はとても感情的になった。沢山の人がメッセージをくれて、昔の話や思い出を持ち出してきた。でも自分の決断を悲しいとは思わなかった。そろそろ潮時だと思っていたし、プロとして人生を歩むモチベーションが残っていなかった。ただ、僕の人生の一部が終わっただけだ」

「遠征を始めとして、テニスをすることで発生する生活の全てを、最後の方はあまり楽しめていなかった。僕は今年39歳になる。とても長いキャリアだったと思うし、すべてにとても満足している。引退して、素晴らしい時間を過ごしてきたと言える。やり過ぎなかった。大きな笑顔で立ち去るよ」

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は「全豪オープン」でのコールシュライバー
(Photo by Cameron Spencer/Getty Images  )

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