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ウィンブルドンでベスト4進出のノリー、大学時代のバイク事故で目が覚める

写真は「ウィンブルドン」でのノリー

キャメロン・ノリー(イギリス)が地元開催の「ウィンブルドン」で魅せた。これまでグランドスラムで3回戦より先に進出したことがなかったノリーが、4回戦でトミー・ポール(アメリカ)、準々決勝でダビド・ゴファン(ベルギー)を退け、ベスト4進出を果たした。センターコートで行われた準決勝では、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)に対し第1セットを取ったものの、グランドスラム20回優勝を誇るベテランの前に屈した。昨年後半から高いランキングを維持しているノリーの転機となったのは、大学時代のバイク事故だったという。英紙The Sunが伝えている。

アメリカのテキサス・クリスチャン大学に在籍していたノリーは、パーティー漬けの毎日を送る大学2年生だった。近所のバーでいつものように楽しんだ後、ノリーは当時の交際相手の家まで小型バイクを走らせることにした。だが20メートルも行かないうちにノリーは転倒し、顎をバイクのハンドル部分に強く打ち付けてしまった。

ノリーは6針縫う怪我を負い、さらに脳震とうの疑いがあったため、ダラスで行われるチャレンジャー大会に出場できなかった。この時、事故で命を落とす可能性もあったとノリーを厳しく叱責したのは、当時の大学のコーチたちだった。彼らは、ノリーに最後の通告をした。パーティーに通い続けるなら、チームを抜けるべきだ、と。

26歳のノリーは、当時を振り返りこう語った。「その時、僕はやるべきことをやっていなかったと気づいた。最適な判断を下していないとね。テキサス・クリスチャン大学の典型的な学生のように、必要以上に遊んでしまっていた。楽しみすぎてしまったんだ」 

「あの事故の後、コーチたちが僕のギアを上げてくれて、僕は確実にもっとプロフェッショナルになったよ。あの後、すごく成長できた。僕はテニスをしたいし、全力を傾けたいと思った。コーチやチームの思いに応えたかった。誰にもがっかりしてほしくなかった」

「ただの転機ではなかった。皆を失望させてしまうような出来事だった。最終的には、自分のためになった。僕のギアを確実に上げてくれたからね。両親には何が起こったか話したよ。全て正直に話したけど、大丈夫だった。彼らにはもっと悪いことを伝えた事もあったから、そこまで大したことにはならなかったよ」

イギリス代表として「デビスカップ」に出場しているノリーだが、彼のパスポートには様々な国のスタンプが押されている。微生物学者の両親は共にイギリス人で、父のデビッドさんはスコットランド出身、母のヘレンさんはウェールズ出身だ。ノリーは南アフリカのヨハネスブルグで生まれた。だが、近所で強盗事件があったことがきっかけとなり、彼が3歳の時に一家はニュージーランドのオークランドに移住した。

ノリーがテニスにのめり込んだのはニュージーランドでのことだ。ニュージーランドNo.1のジュニア選手となったノリーは、16歳の時にロンドンでテニスのトレーニングを受けることを決意。だがノリーはテニス漬けの日々に疲れてしまい、環境を変えるためにアメリカの大学に進学することにした。2017年に大学を退学し、プロに転向。現在は再びイギリスのロンドンで暮らしている。

「ロンドンを拠点として活動するのはすごくいい。友達もいる。ゴルフをしたり、サッカーを見たりできる。とてもいい感じだよ」

「コロナウイルスが蔓延していたときはきつかった。ホテルに滞在したり、テニスをすることも困難だった。特に、検査とか諸々がね。自分の家があって、少しずつ普通の生活に戻ることができて、助かったよ」

ノリーは、これまで多額の賞金を得ているが、きらびやかな生活にはあまり興味がないようだ。「ウィンブルドン」の会場へは、自転車で通っていたという。

「僕は車も持っていないんだ。ちゃんとしたサイクリストってわけでもなくて、変速ギアなしの自転車を持っているだけだから、坂がキツい。正直、自転車に乗っていて[一般の人に]気付かれたことは全く無い。渋滞の横をすり抜けて行くのは気持ちいいし、いいウォームアップになる」

プロに転向した2017年、「ウィンブルドン」前哨戦の「ATP500 ロンドン」の会場でノリーは元世界王者アンディ・マレー(イギリス)と打ち合う機会があり、大いに刺激を受けた。父のデビッドさんは、当時のマレーと息子のやり取りについて次のように語っていた。

「ロンドン大会のロッカールームで、アンディがキャメロンの方へやってきて自己紹介した。“ウィンブルドン”の前に、練習を共にしたんだ。アンディと一緒にプレーし、調整した経験は、トップに到達するためにはどれだけ集中しなければならないかをキャメロンに示してくれた」

「練習で一球たりとも無駄にしまいとするアンディを見て、キャメロンは驚いていた。彼は素晴らしいロールモデルだよ。とても親切な人だ。彼を嫌いな人のことは理解できないね。コートの外では、彼は博識で、ウィットに富み、バランスが取れている。とても謙虚な人でもあるんだ。もしかしたら彼は、上に行くための勇気がキャメロンに足りていないと分かっていて、自己紹介してくれたのかもしれない。彼が自らそうしてくれたことが、多くを語っていると思う」

今年の「ウィンブルドン」について、「“ウィンブルドン”で試合をするのはすごく気持ちが良いし、アットホームな感じがする。友達や家族が見に来てくれて、これ以上幸せなことはないよ」と語っていたノリー。今回の活躍で地元での人気も高まり、ますます注目を集めることになったはずだ。

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は「ウィンブルドン」でのノリー
(Photo by Frey/TPN/Getty Images)

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