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ウィンブルドンで胸高なった試合ベスト3!1位は最強同士の伝説の一戦<テニス大好き川又智菜美アナが鍋島昭茂アナにインタビュー>

2016年ウィンブルドンで対戦したウィリスとフェデラー

6月27日より本戦開幕となった2022年のウィンブルドン。テニス大好きな私、WOWOWアナウンサー川又智菜美が、古巣の大先輩であり、WOWOWのテニス実況でおなじみの鍋島昭茂アナウンサーにインタビューしました。今年のウィンブルドンや過去の印象的な試合についてなど、全3回にわたって連載します。

「僕の実況ポリシーは至ってシンプル」
実況に関してお伺いすると鍋島さんはいつも笑顔で語ってくださいます。
「日本人選手が絡もうが、レジェンドプレーヤーが絡もうが“フィフティ・フィフティ”です」
勝ちたいと思う気持ちやその舞台に立つまでの努力の尊さに、国籍や年齢などは関係ないという信念のもと、テニス実況を長年続けていらっしゃいます。
ウィンブルドンだけに絞っても数多くの試合を実況されてきた鍋島さんに、これまでウィンブルドンで実況した中で印象に残った試合ベスト3を教えていただきました。

第3位 2009年 アンディ・マレー対スタン・ワウリンカ

センターコートに屋根がかかったのがこの年、2009年。この年は比較的天候に恵まれ、なかなか屋根の出番がなかったそうです。そんな中、一試合通して屋根付きのインドアでプレーされたのがこちらの試合!透明な屋根なので、温室の中にいるみたいな感じで湿気も残っていたと回顧する鍋島さん。当時、昨今の異常気象の中グランドスラムのセンターコートは屋根付きになるんだろうなと考えていたそうですが、全仏オープンとウィンブルドンは自然の生きたコートということもあり想像がつかなかったそうです。時代の進化と共に寂しさを感じて複雑な気持ちになり、同時にこの歴史に残る試合がマレーとワウリンカという組み合わせのカードでよかったとおっしゃっていました。

第2位 2016年 ロジャー・フェデラー対マーカス・ウィリス

マーカス・ウィリスという、2016年にイギリスを沸かせた選手のことを皆さん覚えていらっしゃいますか?私自身がテニス観戦を始める前の出来事で恥ずかしながら存じ上げず、鍋島さんに教えていただきました。彼はプロの選手ではありましたが、普段はローカルテニスクラブのコーチで生計をたてていました。当時のランキングは700番台。そんな彼がガールフレンドに勇気づけられ、ウィンブルドンの予選に入るための大会に挑戦したことが始まりだったそうです。あれよあれよと3試合勝ってウィンブルドンの予選に!予選に出てくる選手たちは世界ランキング100番台から200番台が通常という中、ウィリスはどんどん勝ち進んでいきます。そして迎えた本戦の一回戦はべランキスでした。「さすがにここで負けるだろうが、本戦に入ったことが素晴らしいね」と地元メディアは報じていたそうなのですが…なんとグランドスラム常連のべランキスに勝利!そうして迎えた2回戦が、フェデラーとの対戦だったのです。

試合自体はフェデラーが圧勝しました。(6-0,6-3,6-4)しかし試合後、フェデラーは握手をした後に自分の右手をマーカス・ウィリスに向け、観客に彼を讃えるように促したというのです。鍋島さんはそのフェデラーの立ち振る舞いの素晴らしさに感動。「映画よりもドラマティックな様子だった」と興奮して語ってくれました。物語でも「そんな都合の良い話ないよ」と思いそうなことが現実に起こったのですから、みんな興奮しますよね。鍋島さんに話を聞いた後、ハイライトではありますが私もその試合を見てみました。ウィリスがポイントを取るたびにものすごい歓声が沸き起こっていて、観客の熱狂ぶりを伺うことができましたよ。(因みに、とウィリスが予選で当たった選手を聞いてみてびっくり!ルブレフ、杉田祐一、メドベージェフという錚々たるメンバーでした。)

一連のウィリスの勝ち上がりと、フェデラーの相手に対する敬意がとても素敵で印象に残った、ということでこちらの試合が2位に選ばれました。

第1位 2019年 男子決勝 ロジャー・フェデラー対ノバク・ジョコビッチ

1位に選ばれたのは記憶に新しいこの試合。

ファイナルセットまでもつれこみ12ゲームオールになった上(当時のルール)タイブレークで決着がついた、伝説の試合です。4時間57分とウィンブルドンの決勝では最長の試合でした。「個人的な話で申し訳ないんだけど…」と切り出した鍋島さん。実はその前日鍋島さんは男子ダブルス決勝の実況も担当、偶然の一致で試合時間4時間57分だったそうです!まさか二日連続でこんなに長丁場の試合をしゃべると思わなかったと笑っていました。

この試合、フェデラーにチャンピオンシップポイントが2本ありましたが、結果ジョコビッチが鋼のメンタルで押し返して見事勝利。メンタルについて、鍋島さんはジョコビッチの自伝の話をしてくださいました。自伝の中に、ジョコビッチの子供の頃のコーチが彼に『試合で追い詰められたらこの曲を思い出しなさい』とクラシック音楽を教えたという逸話があります。その話が頭に思い浮かんで「今彼の頭の中にその曲が流れているのかな?」と思いながら喋っていたとのこと。その教えが鋼のメンタルの一部になっているのかもしれません。

対するフェデラーは当時37歳。その年齢でウィンブルドンをトップで戦っているということが奇跡です。また、鍋島さんが今でも覚えているのが『フェデラーは第5セットに入ってから自分のセカンドサーブでポイントを落としていない』というスタッツ。「あんなにリターンが良いジョコビッチに対してこんなデータを出すのは異常な世界」と話してくれました。極限の状態、しかもセカンドサーブでそのスタッツは驚きますよね。そして鍋島さんはフェデラーの年齢に再度言及し、「もちろん実況者としてフィフティ・フィフティなのだけれど、心の中では二人の年齢を比較してフェデラーに勝たせてあげたかった。あの時ばかりは51:49だったかもしれない」と打ち明けてくれました。アナウンサーのポリシー・美学を崩してまでフェデラーに勝たせてあげたいという気持ちが込み上げてきたので、最も印象に残っているということです。

以上、鍋島さんが選ぶウィンブルドンで実況した印象に残っている試合ベスト3でした。グランドラムでは多くの名勝負が生まれ、私たちを熱狂させてくれます。
今後もどのような試合が待ち受けているんだろう?と思うとワクワクしますね。

(川又智菜美)

※アイキャッチ写真・記事中(中央)写真:2016年ウィンブルドンで対戦したウィリスとフェデラー(GettyImages)
 記事中(上)写真:2009年ウィンブルドンで屋根付きのセンターコートにて試合をするマレーとワウリンカ(GettyImages)
 記事中(下)写真:2019年ウィンブルドン決勝で対戦したフェデラーとジョコビッチ(GettyImages)

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川又智菜美

川又智菜美

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WOWOWアナウンサー。慶応大学出身、テニスが大好きなアナウンサーです。
【@chinami_k0204】で毎日ウィンブルドンについてを #ちなみにテニ活 でつぶやきます!

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