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グランドスラム王座への道~第4回 ネクストジェンのスターからグランドスラムの優勝候補へ カルロス・アルカラス

「ATP500 リオデジャネイロ」でのアルカラス

このシリーズではこれまでにグランドスラム制覇を遂げたチャンピオンたちや、これから優勝を目指す選手たちをランダムに取り上げ、それぞれの「王座への道」を紹介していきたい。今回ご紹介するのは、今季すでにツアー最多となる4つのタイトルを獲得し、19歳ながら世界ランキング6位まで浮上してきたカルロス・アルカラス(スペイン)だ。

近年、ダニール・メドベージェフ(ロシア)、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)、ステファノス・チチパス(ギリシャ)らの次世代選手が台頭してきたが、グランドスラムでは未だにノバク・ジョコビッチ(セルビア)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ロジャー・フェデラー(スイス)のビッグ3が不動の地位を築いている。フェデラーが2003年の「ウィンブルドン」でグランドスラム初優勝を遂げて以来、74大会中61大会でこのビッグ3が優勝しており、四大大会での尋常でない強さが際立つ。

2022年の全豪オープンでもラファエル・ナダルが優勝
(Photo by James D. Morgan/Getty Images)

そんなテニス界に新風を吹き込んでいるのが、2003年5月5日生まれのアルカラスだ。昨年終わり、21歳以下のトップ8選手が出場するシーズン最終戦「ネクストジェネレーション・ATPファイナルズ」で、最年少の18歳ながら第1シードで出場し優勝を果たすと、今年はすでに「ATP500 リオデジャネイロ」、「ATP1000 マイアミ」、「ATP500 バルセロナ」、「ATP1000 マドリード」でタイトルを獲得している。世界ランキングも今年1月の段階では32位だったが、現在では6位まで上昇した。また、世界トップ8の選手たちが出場するシーズン最終戦「Nitto ATPファイナルズ」の出場をかけたレースランキングでは、トップのナダルに迫る2位の座に位置している。

2021年のネクストジェネレーション・ATPファイナルズ優勝セレモニーでのアルカラス
(Photo by Julian Finney/Getty Images)

アルカラスがグランドスラムの優勝候補として有力視されるきっかけとなったのが、今月のマドリード大会だろう。この大会ではアルカラスのたしかな成長ぶりを顕著に見ることができた。例えば、準々決勝で同国の偉大な先輩であるナダルと対戦。過去2回の対戦では、昨年のマドリード大会で1-6、2-6の完敗、2回目の対戦となった今年3月の「ATP1000 インディアンウェルズ」準決勝ではフルセットの末に敗れていた。そして初対戦から1年後となる3回目の対戦では、初めて第1セットを先取。その後も得意とするドロップショットを交えながら、フォアハンドやバックハンドのウィナーを次々と決めるなど、以前とは明らかに違う堂々としたプレーを見せ、6-2、1-6、6-3でナダルから初勝利を手にした。また、クレーコートでナダルを破った初めての10代選手という称号も得ている。

成長著しいアルカラスに対してナダルは「アドレナリンが出た時の彼はまさに止められない。ミスをすることもあるけど、それはリスクを恐れずにプレーしているから。誰が相手でも勝てるレベルにあると思う」と称賛と期待の言葉を贈った。また、アルカラスは度々「第2のナダル」と言われているが、ナダル本人は「比較するのはやめた方がいい。彼には彼のキャリアを楽しんでもらおう」と話す。

ATP1000マドリード準々決勝で対戦したアルカラスとナダル
(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)

ナダルが言った通り、この時のアルカラスは誰にも止められなかった。続く準決勝では世界王者のジョコビッチと初対戦。アルカラスは第1セットを落とすもそこから逆転に成功し、3時間35分に及ぶ接戦を制した。敗れたジョコビッチは「彼は間違いなく今世界最高の選手だ。オフェンス面とディフェンス面、両方でうまくプレーできる。全仏でも優勝候補の一人になるだろうね」と褒め称えた。勢いが止まらないアルカラスは、決勝で前回王者のズベレフをストレートで破り優勝を決める。ズベレフもまたアルカラスを現時点で世界No.1の選手だと語り、スター選手たちから認められる存在となった。実際に現在トップ10の選手に7連勝中と、その実力は本物だ。

しかしアルカラス本人は、まだ自分は成長過程だと述べる。彼を15歳の時から指導している元世界王者のフアン カルロス・フェレロ(スペイン)も「今のレベルは、まだ彼の最大のレベルの60%だと思うよ」とコメントしており、未完だが大きな可能性を秘めていることが伺える。

ATP1000マドリードで準優勝のズべレフにシャンパンシャワーを受けるアルカラス
(Photo by Pablo Morano/MB Media/Getty Images)

およそ半年でネクストジェネレーションのスターからグランドスラムの優勝候補にまで上り詰めたアルカラスは、5月22日に開幕する「全仏オープン」へ向けて「優勝する準備はできている」と意気込む。クレーコートではほかのコートと比べると球速が遅くなり、ラリーが続きやすくなるため波乱が起きやすいと言われている。それに「全仏オープン」優勝経験者のフェレロがコーチということもアルカラスにとって大きなアドバンテージになるだろう。

グランドスラムでの最高成績は昨年の「全米オープン」ベスト8。同大会では3回戦でチチパスと4時間越えのフルセットを戦い抜き、続く4回戦でもペーター・ゴヨブチック(ドイツ)にセットカウント1-2から勝利するなど、5セットマッチを勝ち抜くタフさを兼ね揃えている。そこに巧さと経験が加わったアルカラスが今後グランドスラムでどれほどの結果を残すのか、楽しみで仕方ない。

※アイキャッチ写真は「ATP500 リオデジャネイロ」でのアルカラス
(Photo by Buda Mendes/Getty Images)

(WOWOWテニスワールド編集部)

WOWOWテニスワールド編集部

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