ビッグ3と呼ばれるロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は10年以上テニス界の頂点を競い合い、歴史を創ってきた。ビッグ3時代が特に印象的なのは、まるでフィールドを分け合うようにそれぞれの選手が別のサーフェスを得意とし、異なるプレースタイルで強さを見せてきたことだ。だが、ビッグ3全員から、それぞれの得意なサーフェスで勝利を掴んだ選手も数少ないながら存在する。スポーツウェブメディアSportskeedaが伝えている。
ジョコビッチが最も得意なのはハードコート。ナダルはクレー、フェデラーはグラスをそれぞれ得意とする。ナダルが優勝したグランドスラム21大会のうち、13大会はクレーの「全仏オープン」だ。ジョコビッチの20大会のうち12大会はハードコート、そしてフェデラーの20大会のうち8大会はグラスコートで行われる「ウィンブルドン」である。
それでは、フェデラー、ナダル、ジョコビッチの3人に、得意なサーフェスで土をつけた選手3人を見てみよう。
アンディ・マレー(イギリス)
元世界王者のマレーはナダルに対しクレー大会で2度勝利を収めている。いずれも「ATP1000 マドリード」で、2015年の決勝、そして2016年の準決勝で、マレーはナダルをストレートで下した。
フェデラーには、マレーはグラスコートでは1勝しかしていないが、それは彼のキャリアの中で最も重要な勝利の一つだった。2012年の「ロンドンオリンピック」の決勝で、マレーは当時世界王者だったフェデラーをストレートで下し、金メダルを獲得した。
現在34歳のマレーは、同じ1987年5月生まれのジョコビッチをハードコート大会で8回退けている。この数は全選手の中で2番目の多さだ。うち5勝はマスターズ1000大会(決勝4戦)、1勝が「ATPファイナルズ」決勝(2016年)、1勝がグランドスラムの決勝(2012年「全米オープン」)だった。
ドミニク・ティーム(オーストリア)
元世界3位のティームはフェデラーとグラス大会で1度しか対戦していないが、その1度のチャンスをものにした。2016年の「ATP250 シュトゥットガルト」の準決勝で第1シードのフェデラーと対戦したティームは、3セットで勝利を掴んだ。
ナダルに対してティームはクレーで4勝しており、全選手の中で2番目の多さを誇る。2017年「ATP1000 ローマ」と2018年「ATP1000 マドリード」の準々決勝、そして2019年「ATP500 バルセロナ」準決勝の3試合ではストレートで勝利し、テニスファンを驚かせた。2016年の「ATP250 ブエノスアイレス」準決勝では、3セットでティームがナダルを破った。
元全米王者のティームは、ジョコビッチにハードコートで2勝を挙げており、いずれも「Nitto ATPファイナルズ」でのことだった。2019年、ティームはジョコビッチをグループステージで下し、2020年には準決勝でジョコビッチに勝利した。
アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)
ズベレフがナダルにクレーコートで勝利したのはこれまで1回のみ。2021年の「ATP1000 マドリード」の準々決勝で番狂わせを演じた。第1シードのナダルを破ったズベレフはそのまま優勝を飾り、自身4つ目のマスターズ1000大会のタイトルを獲得した。
現在世界3位のズベレフは、グラス大会でフェデラーに1勝している。2016年「ATP500 ハレ」の準決勝で、それまで3年連続優勝を飾っていたフェデラーが、ノーシードだった当時19歳のズベレフに敗れた。翌年フェデラーは同じ大会の決勝で、ズベレフにリベンジを果たしている。
ジョコビッチに対し、ズベレフはハードコートで3度勝利している。うち2度は「Nitto ATPファイナルズ」、1度はオリンピックでのことだ。2018年と2021年の「Nitto ATPファイナルズ」でズベレフはジョコビッチに勝利し、そのまま大会に優勝。さらにズベレフは2021年の「東京オリンピック」準決勝でジョコビッチを退け、決勝でカレン・ハチャノフ(ロシア)を破って金メダルを獲得している。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真はジョコビッチ(左)、ナダル(中)、フェデラー(右)
(Getty Images)