ニュース News

クレーシーズンもいよいよ佳境に!5月開催の主な大会まとめ

2021年「ATP1000ローマ」でのナダル

ヨーロッパでのクレーコートシーズンが開幕して1ヶ月、シーズンはいよいよ佳境を迎える。ハード、クレー、グラスの3つのサーフェスの中ではクレーが最も球足が遅く、バウンドは高くなるため、ラリーが長くなり、選手にはスタミナと粘り強さが要求される。5月下旬から開催される「全仏オープン」に向けて、選手たちは正念場を迎えている。

<5月の大会カレンダー>

男子

4月25日~5月1日 「ATP250 ミュンヘン」(ドイツ、クレーコート)

4月25日~5月1日 「ATP250 エストリル」(ポルトガル、クレーコート)

5月1日~5月8日 「ATP1000 マドリード」(スペイン、クレーコート)

5月8日~5月15日 「ATP1000 ローマ」(イタリア、クレーコート)

5月15日~5月21日 「ATP250 ジュネーブ」(スイス、クレーコート)

5月15日~5月21日 「ATP250 リヨン」(フランス、クレーコート)

5月22日~6月5日 「全仏オープン」(フランス・パリ、クレーコート)

女子

4月28日~5月7日 「WTA 1000 マドリード」(スペイン、クレーコート)

5月9日~5月15日 「WTA1000 ローマ」(イタリア、クレーコート)

5月15日~5月21日 「WTA250 ラバト」(モロッコ、クレーコート)

5月15日~5月21日 「WTA250 ストラスブール」(フランス、クレーコート)

5月22日~6月5日 「全仏オープン」(フランス・パリ、クレーコート)

「ATP/WTA1000 マドリード」(スペイン・マドリード/女子4月28日~5月7日、男子5月1日~5月8日/クレーコート)

男女共催のマスターズ1000大会である「ATP/WTA1000 マドリード」は、マドリードの標高が高いため、他の大会のクレーコートよりも球足が速く、そのためビッグサーバーなど、ハードコートを得意とするタイプの選手たちにも比較的有利な大会と言われている。最多優勝はラファエル・ナダル(スペイン)の5回。ナダルは3月にインディアンウェルズ大会で負った肋骨の疲労骨折により戦線を離脱しており、今大会への出場が危ぶまれていたが、先日出場を表明してファンを喜ばせた。女子の最多優勝はペトラ・クビトバ(チェコ)の3回。昨年の覇者は男子がアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)、女子がアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)。

男女の賞金は同額で、総額は男女各674万4165ユーロ(約9億1100万円)。シングルスの優勝賞金は104万1570ユーロ(約1億4070万円)、準優勝56万8790ユーロ(約7683万円)。1回戦敗退は2万6960ユーロ(約364万円)、予選1回戦敗退は7235ユーロ(約98万円)となっている。昨年はコロナ禍の影響で賞金が大幅に減額になっていたので、今年は去年より総額で158%増。個々の賞金も、昨年は勝ち進むほど減額幅が大きくなっていたので、それを取り戻すように、予選や1回戦敗退の賞金は約80%増なのに対し、ベスト8・ベスト4では約190%アップ、優勝賞金は230%の増額となった。

男子のランキングポイントは優勝者に1000ポイント、準優勝600、準決勝進出360、準々決勝進出180、ベスト16進出90、2回戦進出45ポイント、1回戦敗退10ポイント。女子は優勝1000ポイント、準優勝650、準決勝進出390、準々決勝進出215、ベスト16進出120、2回戦進出65、1回戦敗退10ポイントが与えられる。

男子シングルスの出場選手は56名で、上位8シードが1回戦免除。4月27日時点での上位8シードはノバク・ジョコビッチ(セルビア)、ズベレフ、ナダル、ステファノス・チチパス(ギリシャ)、キャスパー・ルード(ノルウェー)、アンドレイ・ルブレフ(ロシア)、カルロス・アルカラス(スペイン)、フェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)となっている。世界ランキング2位のダニール・メドベージェフ(ロシア)と同6位のマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)は怪我のため欠場となった。アルカラスは「ATP500 バルセロナ」を制して世界9位となり、これがトップ10選手として初めて出場する大会となる。

日本からはダブルスでマクラクラン勉(日本/イカイ)がレイブン・クラーセン(南アフリカ)とのペアで出場。西岡良仁(日本/ミキハウス)は予選の補欠リスト4位に、ダニエル太郎(日本/エイブル)は15位に入っている。

女子シングルスの参加選手は64名。残念ながら世界女王イガ・シフィオンテク(ポーランド)が開幕直前に欠場を発表したため、第1シード不在となり、ドロー表のトップには代わりに第17シードのレイラ・フェルナンデス(カナダ)が入った。第2シードから第8シードは、パウラ・バドーサ(スペイン)、サバレンカ、マリア・サカーリ(ギリシャ)、カロリーナ・プリスコバ(チェコ)、ダニエル・コリンズ(アメリカ)、ガルビネ・ムグルッサ(スペイン)、オンス・ジャバー(チュニジア)となっている。第9シードは19歳の全米女王エマ・ラドゥカヌ(イギリス)だ。

日本選手は世界36位の大坂なおみ(日本/フリー)がワイルドカード(主催者推薦枠)で出場。予選に出場した世界94位の土居美咲(日本/ミキハウス)は1回戦敗退となった。ダブルスでは穂積絵莉(日本/日本住宅ローン)/二宮真琴(日本/エディオン)ペアと、第8シードで青山修子(日本/近藤乳業)/チャン・ハオチン(台湾)ペアが出場する。

「ATP/WTA1000 ローマ」(イタリア・ローマ/男子5月8日、女子5月9日~5月15日/クレーコート)

グランドスラムやマスターズ1000大会のインディアンウェルズ、マイアミ、マドリードなどでは男女同額の賞金が実現されているが、ローマでは正に「格差」と言っていいほどの大きな賞金額の違いがある。主催者側はその理由として、女子の大会は「WTA1000」に区分されてはいるが優勝者の獲得するランキングポイントが900ポイントの、いわばランクが下の大会であることをあげるが、それにしてもその格差には驚かされる。

男子の賞金総額は433万2325ユーロ(約5億8664万円)で、優勝賞金56万8475ユーロ(約7698万円)、準優勝31万5110ユーロ(約4272万円)、1回戦敗退2万1120ユーロ(約286万円)、予選1回戦敗退5745ユーロ(約78万円)。総額は2021年に比べて約108%増で、優勝賞金は約130%の増額、予選・本戦の1回敗退は76%ほどアップになっている。

そして女子の賞金総額は男子の6割弱の252万7250ユーロ(約3億4110万円)。内訳についてはまだ発表されていない。

男子のランキングポイントはマドリード大会と同じだが、女子は優勝者に900ポイント、準優勝585、準決勝進出350、準々決勝進出190、ベスト16進出105、2回戦進出60、1回戦敗退1ポイントとなっている。

ここでも男子の最多優勝記録を持つのはナダルで、2021年を含む過去10回優勝。女子の最多はクリス・エバート(アメリカ)の5回、昨年の優勝者はシフィオンテクだった。

「全仏オープン」(フランス・パリ/5月22日~6月5日/クレーコート)

5月22日にクレーシーズンのクライマックス、「全仏オープン」が幕を開ける。昨年はジョコビッチが準決勝でクレーの王者ナダルを倒し、決勝ではチチパスに2セット先取されながらフルセットで逆転勝利して、2016年以来5年ぶり2度目のタイトルを獲得した。女子ではダブルスに強い選手、とみなされていたバーボラ・クレイチコバ(チェコ)が、「全仏オープン」史上わずか6人目のシングルスとダブルスを同時に制した女子選手となった。男子の過去最多優勝はナダルの13回、女子はエバートの7回である。

残念なことに日本の錦織圭(日本/フリー)や元世界王者ロジャー・フェデラー(スイス)の復帰はもう少し先になるようだが、現在離脱中のメドベージェフやベレッティーニは今のところ「全仏オープン」のエントリーリストに入っている。大坂、土居、西岡は本戦ストレートイン。ダニエルは本戦の補欠4位となっている。

クレーシーズンの前半戦、男子ではモンテカルロをチチパスが連覇、バルセロナでは18歳のアルカラスが成長著しい姿を見せ、ベオグラードはルブレフが制したが、ジョコビッチが準優勝し、「全仏オープン」にしっかり照準を合わせているところを見せた。女子では新世界女王シフィオンテクが破竹の勢いだが、キャリアハイの世界2位となったバドーサ、全仏連覇を狙うクレイチコバ、シュトゥットガルト準優勝のサバレンカ、あるいは復活を期す大坂やビアンカ・アンドレスク(カナダ)など、相変わらずの乱戦状態だ。クレーシーズン後半で勢いをつけ、グランドスラムの栄冠を手にするのは誰になるのだろうか。

※為替レートは2022年4月27日時点

(WOWOWテニスワールド編集部)

※2021年「ATP1000ローマ」でのナダル
(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)

WOWOWテニスワールド編集部

WOWOWテニスワールド編集部

facebook twitter

速報や最新ニュース、グランドスラム、ATP、WTAなどの大会日程と試合結果情報など、テニスのすべてをお届けします!

WOWOWテニスワールド

  1. Home
  2. ニュース
  3. クレーシーズンもいよいよ佳境に!5月開催の主な大会まとめ