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「全豪ジュニア」挑戦で見えた“世界”までの距離 原﨑朝陽&木下晴結インタビュー

地元オーストラリアのレジェンド、Alicia Molik選手と練習会をする原﨑選手と木下選手

住友ゴム工業(株)(以下、ダンロップ)と日本テニス協会共催の「全豪オープンジュニアシリーズ」トララルゴン国際ワイルドカード選手権(「DUNLOP ROAD TO THE AO JR. IN YOKKAICHI」)が、昨年11月に三重県四日市で開催された。WOWOWテニスワールドでは本大会の優勝選手を取材し、「トララルゴンジュニア国際」(グレード:J1)と「全豪オープンジュニア」(グレード:JA)へ挑戦する姿を追ってきた。全3回の連載最後となる今回は前後編に分け、前編では海外遠征を終えた原﨑朝陽選手(ノア・テニスアカデミー神戸垂水)と木下晴結選手(LYNX Tennis Academy 大阪)へのインタビューをお伝えする。

インタビュー前に読ませてもらった木下選手の遠征レポートには、初のグランドスラムに挑む心境や現地での生活の様子が率直に書かれていた。

1月23日
今日はシングルス本戦一回戦、緊張したけど、グランドスラムの舞台を全力で楽しむことができた。僅差で負けてとてもくやしい。ダブルスでは、1回戦をなんとか勝てたので嬉しい!
試合後、インタビュールームの廊下で、偶然バーティと会って、少し話せた!!すごく優しかった。幸せ( ´ ▽ ` ) 
(レポートより一部抜粋)

こうした刺激に満ちたオーストラリアで得た経験を、改めて二人に語ってもらった。

「全豪オープンジュニア」予選会場での原﨑朝陽選手(左)と木下晴結選手(右)

――オーストラリア遠征の全体を振り返って、どうでしたか?

原﨑:2年ぶりの海外遠征ということもあり、全豪の会場に着いたときは鳥肌が立ちました。今回の遠征ではメンタル面が成長したと思います。しぶとくラリーをして、相手を動かして、チャンスが来たところを攻めるという形になるので、どうしてもしんどい中でプレーをしなければいけないけど、それを我慢するというところでメンタル面が一番強化されました。

木下:「トララルゴンジュニア国際」と「全豪オープンジュニア」では予選は勝ち上がることができたのですが、本戦では1回戦で負けてしまったのがすごく悔しくて。ダブルスでは本戦で少し勝てたのですが、やはりシングルスで本戦を勝ち抜きたかったなというのが今の気持ちです。

「全豪オープンジュニア」予選で試合中の原﨑選手

――予選と本戦をどちらも経験し、感じた違いはありましたか?

原﨑:特に印象に残っているのが予選決勝の試合で、自分も対戦相手も「全豪オープン」という大きな舞台に立ちたいという想いがあり、お互い良いパフォーマンスが出せない中で、どちらが先にそのプレッシャーを切り抜けられるかという戦いでした。予選はメンタル面が大事だと思いました。本戦は、気持ちだけでは何ともできないというか。技術、フィジカル、戦術など全てにおいて自分より上回っていたと思いました。

木下:選手の試合への気持ちの入れ方が違うなと思いました。試合の最中も大事な場面でギアを1つ上げて強気に攻めてきたり。そういったプレーでもそうですし、気持ちの入れ方に関しては違いがありました。

「全豪オープンジュニア」予選で試合中の木下選手

――シード選手から感じたすごさはありましたか? また通用した点はどういったプレーでしたか?

原﨑:自分の身長が165cmくらいであまり高くないので、サーブに自信を持っていなかったんですけど、本戦1回戦ではサーブの調子が良かったこともあり通用するなと思いました。またサーブを打った後のショットも通用していたと思います。

木下:最初にコイントスをするときから絶対負けないぞという気持ちが前面に出ているのを感じました。目つきだったり、オーラというか出ている雰囲気はすごかったです。通用した点は、ファーストサーブが入ると回り込みフォアやネットプレーの展開に持って行けることが多かったのでそこは自信がつきました。

「全豪オープンジュニア」本選でシード選手Vallejo選手と対戦する原﨑選手

――今後の課題はどういった点になりますか?

原﨑:フィジカル面は今後のテニス人生で強化していかなければならない点だと思います。あとはウイニングショットが必要だなと感じました。サーブを打った後に甘いボールを引き出すことができても、その次のショットで決めることができなかったら振り出しに戻ってしまうので、高い打点を打ち込むショットがこれから必要だと思います。

木下:ファーストサーブが入った時はポイントを取れたり自分の形に持っていけたりしたんですけど、セカンドサーブになった時に強く叩かれてしまい自分のサービスゲームの時にキープに苦しんでしまったというのがありました。なので自分が主導権を握れるようなセカンドサーブを持つことと、大事な場面で引かずに攻めるという事を今後身に着けたいです。

「全豪オープンジュニア」本選で試合中の木下選手

――四日市の大会から全豪本戦出場までを通して学んだことはどんなことですか?

原﨑:自分の中では全豪に向けて準備をしたつもりだったんですけど、語学面では海外の選手とスムーズにコミュニケーションが取れなかったですし、テニスでももっと練習していけばよかったと後悔しています。なので、会場に行くまでの準備はすごく大切だと学びました。

木下:久しぶりにトップのジュニアのプレーをオーストラリアで見て、もっとえぐいのかなと思っていたんですけど、実際には自分もあの舞台で戦えると分かりました。あと1個の大事なポイントところでのメンタルの保ち方など、そういったちょっとした差がトップと自分の違いなのかなと学びました。ただトップはそれほど遠くないと感じられたことが一番の収穫です。

「全豪オープンジュニア」予選会場での木下選手

――全豪以降の大会では、原﨑選手は「インカボウル」(グレード:J1)ベスト4、木下選手は「キャンベラ国際ジュニア」(グレード:J3)で準優勝という結果を残しましたがその要因は何でしょうか?

原﨑:要因でいうと全豪で得た経験を活かすことができたということです。全豪の本戦を戦った相手が第3シードの選手で、その試合を通して世界で自分は通用するなと実感したので、逆にペルーでは勝たないといけない。自分はそのレベルにいると言い聞かせて試合に臨んでいました。優勝を目指していたのでベスト4という結果は満足していないです。

木下:キャンベラの1回戦の前夜に、伊達公子さんのプロジェクトでzoomミーティングがありました。そこで伊達さんに「大事なポイントで自分が何をするべきか悩んでしまう」と相談したところ、「自分でやると決めたことはやり切る」というアドバイスを頂いて、その大事な場面が来た時に自信を持って強気に攻めに行けたというのがとても大きかったです。その積み重ねで決勝まで進められたと思います。

――サポートしてくれた人たちへ一言お願いします。

原﨑:久しぶりの海外遠征が「全豪オープンジュニア」という大舞台に出場させてもらって、もっとテニスを強くなりたいと思わされました。日本にいたらこんな気持ちにならなかったと思うので、このような機会を頂いて感謝しています。

木下:ダンロップさんをはじめ、コーチや家族がサポートしてくださったおかげで良い遠征になりました。成長できた点がいっぱいありましたし、課題も見つかったので、この遠征を糧にします。本当に感謝しかないです。ありがとうございました。

現地では地元オーストラリアのレジェンド、Alicia Molik選手(元世界ランキング8位/現オーストラリア女子代表監督)との練習会もダンロップ主催で開催された

――最後に、今後の目標を教えてください。

原﨑:今年は一般のITFフューチャーズ(プロツアー下部大会)に挑戦したいと思っています。少しでも多くポイントを取ることができれば来年動きやすくなると思うので、プロの舞台で戦い勝てるようになっていきたいです。もう一つは全日本選手権で優勝できるように努力したいです。

木下:ジュニアの大会はもちろんなんですけど、プロサーキットの方にもトライしていき、WTAのランキングを持てるように頑張りたいです。

オーストラリア遠征を経て世界と戦える実感を得た二人。今後、日本テニス界を引っ張る存在となってくれることを期待したい。
後編では、今回2人に「全豪オープンジュニア」挑戦の機会をもたらしたダンロップに、ジュニア育成への取り組みや想いをインタビューした様子をお伝えする。

なお、WOWOW「週刊テニスワールド」にて、「全豪オープンジュニア」に臨んだ原﨑選手と木下選手に密着した模様が先月に放送された。予選から本選までの試合の様子や選手・コーチのインタビューなど内容盛りだくさんとなったこの回は、WOWOWオンデマンドで12月31日まで視聴可能なので、ぜひこちらもチェックしていただきたい。

当サイトでも両選手の挑戦の様子を動画で公開中!

WOWOWテニスワールド編集部

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