ニュース News

最年長世界ランカー松井俊英のかけがえのない経験とは?~インタビュー後編~

写真は2020年「ATPカップ」での松井

ATP(男子プロテニス協会)世界ランキングの最年長ランカー、松井俊英(日本/APF)のロングインタビューの後編をお届けする。現在43歳の松井は、16年前のフェデラーとの出会いやパンデミックによる競技生活への影響などについて語った。UBI Tennisが伝えている。

怪我により一時休養期間をとっていた松井だが、昨年43歳6ヶ月の時に日本の大会を制し、国内大会で優勝した最年長選手として日本テニス界の歴史にその名が刻まれた。2020年と2021年には「ATPカップ」出場メンバーに選ばれ、男子ツアーのメインステージに戻ってきた。このような国別対抗戦の大会で松井が日本代表に選ばれたのは実に10年ぶりのことだった。

40代に入っても日本のテニス界を牽引する存在であり続ける松井の原動力は、家族の支えとテニスに対する真摯な姿勢にあるようだ。

UBI Tennis:日本には、キャリアの長いアスリートがたくさんいますね。伊達公子さんは45歳のときにキャリア最後のグランドスラムに出場しました。サッカーの三浦知良選手は50歳を超えても現役です。法華津寛選手は70歳を超えてオリンピックの馬術に出場しました。なにか日本の文化でアスリートが長く活躍できる要因があるのでしょうか?

松井:そうかもしれないですね。というより、僕たちのDNAになにかあるのかもしれません。日本は、65歳以上の高齢者が約3600万人いて、90歳以上の方が230万人、100歳以上は7万人います。僕たちは年上の人を敬いますし、彼らは常に僕たちの文化の一部なのです。

その他の理由としては、僕たちの食事の多様性にあるかもしれません。妻(高岸知代さん)は元テニス選手で、僕の最大の支援者です。結婚してから、僕の食事は1日3回になりました。彼女は子供の世話をしながら僕の栄養面もケアしてくれます。妻は認定サプリメントアドバイザーで、とても健康的な食事を作ってくれます。おいしいレシピをたくさん知っていて、多様な日本料理をアレンジしたり、ロースイーツなどを取り入れたりしてくれます。

UBI Tennis:以前ロジャー・フェデラー(スイス)と打ち合ったことがあると聞きました。詳しく教えて下さい。

松井:最後にフェデラーと打ち合う特別な機会があったのは2006年のことで、彼が「ジャパン・オープン」に出場するため訪れた時のことでした(この時、フェデラーはティム・ヘンマン(イギリス)を決勝で破り優勝)。僕が間違えていなければ、あれはロジャーがあの大会に初めて出場した時でした。コートのスピードが速くて、ボールがあまり弾まなかったのを覚えています。でも面白いことに、僕たちがラリーをしていると、ロジャーが打つボールは毎回すごく高くバウンドして、どうやっているのかすごく驚きました。

練習の後に写真を撮ったけど、僕らはすごく若く見えました。あの後いつ会っても、彼は僕に優しい言葉を掛けてくれました。ツアーでどこへ遠征しても、彼のトレーニングを見る機会があれば必ずチェックしていました。彼は今でも最高のレベルでプレーをしています。これほど年月が経っても、ロジャーが精神的なモチベーションや身体の強靭さを維持できているというのは、素晴らしいでは言葉が足りません。彼ともう一度打ち合いたい、というのは僕の願いの一つです。きっと楽しいですよ。特に、僕ら2人とも40歳を超えた今はね。

UBI Tennis:フェデラーも40歳を超えて、膝の怪我から回復しているところです。あなたの経験をもとに、年齢を重ねてテニスをプレーすることに関して彼にアドバイスはありますか?

松井:実は、ロジャー(40歳)と僕(43歳)は3歳しか離れていません。彼は、彼のチームにしっかり支えられているはずです。細かなディテールに注意を払うプロが彼を支えています。リハビリがうまくいって、できるだけ早くコートに戻ってこれるよう祈っています。すごく腕のいい日本の鍼治療師を知っているので、もし彼のリハビリで何か問題があったり、膝の回復が思うように行かない時は喜んで彼をロジャーに紹介します。

UBI Tennis:フェデラーとは異なり、あなたはトップ100圏外でITFツアーを中心に活動しています。どのように資金調達を続けていられるのですか?

松井:僕は普段はITFフューチャーズ大会には出ていません。代わりに、主にチャレンジャーや予選に出場して、ツアー大会に入り込もうとしています。そうすると、状況は少し良いのですが、それでも十分な資金を確保するために他の手段が必要です。僕の長年のスポンサーには感謝しきれません。Asia Partnership Fundはとても長い間僕を支援してくれていて、僕たちは離れがたい存在と言っても良いかもしれません。

UBI Tennis:数ヶ月、怪我で戦線を離れていた期間もありましたが、先日、全日本テニス選手権で復帰しました。幾つか記録を打ち立てたと聞きましたが、どのようなものですか?

松井:パンデミックが起こってから、僕は基本的に家で過ごしていました。例外だったのは、“ATPカップ”で日本代表に選ばれた時です(2度)。僕にとって、チーム戦はすごく意味があることで、特に自分の国のために戦う時はなおさらです。最後の“デビスカップ”出場(2010年)から10年経って、日本チームに再び戻ることが出来ました。

2020年とその翌年、僕は“ATPカップ”で日本チームのメンバーでした。このような権威ある大会で、僕は“ATPカップ”史上最年長選手となり、もう一つのマイルストーンを達成しました。昨年11月には、上杉海斗(日本/江崎グリコ)とともに全日本テニス選手権の男子ダブルスで優勝しました。12年ぶり、5回目のダブルス優勝でしたが、この時に日本のあらゆる国内の選手権で優勝した最年長選手になりました。こういう記録はしばらく破られなさそうですね。

UBI Tennis:コロナ禍の間にまたお子様が生まれたそうですね、おめでとうございます。子供の誕生によって、ツアーで競技を行うことに関して何か考えが変わりましたか?

松井:幸運なことに子供はパンデミックの初期の頃に生まれたので、家で妻、娘、そして9歳の息子とかけがえのない時間を過ごすことが出来ました。昨年はふくらはぎに怪我をして、慎重に一からトレーニングを始めたので数ヶ月かかりました。昨年の秋、ツアーの生活に戻れてすごくワクワクし、再び楽しさを感じました。今は、テニスと家族との間でいいバランスと調和を探っているところです。

UBI Tennis:将来の予定について聞かせてください。あとどのくらい競技を続けるおつもりですか?

松井:このようなかけがえのない人生経験が得られる限り、競技を続けるつもりです。今は、ランキングを守ることに集中しています。5月に失効してしまいますから。今年どうなるか、見守っていてください。

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は2020年「ATPカップ」での松井
(Photo by Paul Kane/Getty Images)

空いた時間にテニスがしたい。そんなあなたのための単発レッスン予約サービス「テニモ」
単発レッスン予約、都度払いでOK。入会金、月会費は0円。関東中心にサービスを展開中。
詳細はこちら>>

WOWOWテニスワールド編集部

WOWOWテニスワールド編集部

facebook twitter

速報や最新ニュース、グランドスラム、ATP、WTAなどの大会日程と試合結果情報など、テニスのすべてをお届けします!

WOWOWテニスワールド

  1. Home
  2. ニュース
  3. 最年長世界ランカー松井俊英のかけがえのない経験とは?~インタビュー後編~