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最年長世界ランカー松井俊英の忘れられない試合とは?~インタビュー前編~

写真は2020年「ATPカップ」での松井

43歳の現役テニス選手、松井俊英(日本/APF)が、ここ20年でツアーに起こった変化や長いキャリアの秘訣などについて語った。ATP(男子プロテニス協会)の世界ランキングにランクインしている選手の中で最年長の松井は、年齢はただの数字でしかないことを身をもって証明している。UBI Tennisの独占インタビューを、前・後編に分けてお届けする。

松井が初めてITF(国際テニス連盟)の大会に出場したのは1993年のことだった。この時、現在男子ツアーのトップ10にいる選手のうち8人はまだ生まれていない。今はフューチャーズと呼ばれているカテゴリーはサテライトという名前で、当時の世界王者はピート・サンプラス(アメリカ)だった。これまでのキャリアで、松井はチャレンジャー大会に200回以上出場し、43歳になった今も選手として活躍している。

これほど長いキャリアを続けること自体が一つの功績だが、松井のように、主に賞金額が大きくはない下部大会に出場しながら競技を続けるのは、なかなか真似の出来ないまた別の功績だと言える。松井は国内の大会に多く出場しつつ、スポンサーに直接出資を掛け合い、さらに自身でオンラインショップを経営して収入の足しにしている。

一体何が40代の松井を駆り立てるのか?インタビューで、松井は類まれなキャリアを振り返った。

UBI Tennis:あなたが初めてチャレンジャー大会に出場したのは1999年、初のATP大会は2005年でした。これらの大会で覚えていることはありますか?

松井:僕の記憶によると、当時はアジアで開催されるチャレンジャーやツアー大会は多くありませんでした。そのため、エリート選手たちに囲まれて居心地悪く感じました。2000年に、僕は横浜で初めてチャレンジャー大会に出場して、その5年後に北京で初めてのATP大会に出ました。1回戦でSun Peng(中国)に勝ち、その後ギジェルモ・コリア(アルゼンチン)に負けました。彼はその前年“全仏オープン”のファイナリストだった選手で、当時世界ランキング6位、その大会で第2シードでした。彼は小さな子供みたいに見えました。僕は緊張していて、“よし、彼がどのくらい上手いか見てやろう”と自分に言い聞かせました。彼は手が付けられない勢いで、僕は1ポイントも取れないかと思いました。ミスをほとんどしなかったし、一つ一つのポイントすべてを取りにきました。正直言って、打ちのめされましたよ(その大会でコリアは決勝に進出し、ラファエル・ナダル(スペイン)に敗れた)。彼のプレーは、僕にとってショッキングな経験でした。

でも、これまでのキャリアで多くの試合をしてきた中で、忘れられない試合がもう一つあります。それは岩渕聡(日本)と対戦した2006年の全日本選手権シングルス決勝です。彼は僕の長年のダブルスパートナーで、友人でした。有明コロシアムで、5-3、30-0でリードしていたのに、5-7で負けました。僕は初めてのシングルス決勝の重圧で、緊張していたんです。

UBI Tennis:これまで20年以上ツアーで活躍してきて、あなたが感じた最も大きな変化は何ですか?

松井:僕の考えでは、アジアでより多くの大会と機会があること、これが最も大きな改善点だと思います。パンデミックによってアジアの国々がロックダウンしていたここ2年間は例外ですが(2020年〜2021年は、チャレンジャーやツアー大会がアジア圏では一つも開催されなかった)。

その他には、インターネット技術の発達ですね。若い世代の人には変に聞こえるかもしれませんが、エントリーリクエストをファックスし、旅行会社で航空券を買い、国際電話にゾッとするほど多くの時間を割いていた時代があったんです。今では、こういうことはストレス無く、時間を掛けずに出来るようになりました。

それから、20年前に比べて、チャレンジャーのレベルでもATPがもっと支援してくれるようになりました(大会のスーパーバイザーやマネージャーが支援してくれる)。選手同士の交流という点では、今より昔のほうが頻繁にあったと言えますね。

UBI Tennis:ITFやチャレンジャーツアーに参戦するテニス選手の生活はどのようなものですか?これらの大会で選手に分配される賞金は、彼らのキャリアを支えるのに十分だと思いますか?

松井:ITFやチャレンジャーツアーでプレーすることは、長年問題でしたし、まだ解決できていない課題です。ほとんどのテニス選手はツアーで生き延びるために、資金を調達する方法や選択肢を探らなければなりません。例として僕の場合は、日本国内の大会やクラブの試合にできるだけ出場するようにしてきました。スポンサーとの契約もありましたし、僕自身が出資を掛け合ったスポンサーも幾つかあります。それから、僕のファンクラブ(日本ではオンラインサロンと呼ばれる)や公式ウェブショップを作り、スポンサーのKasaさんに自分のゆるキャラをデザインしてもらったこともあります。

さらに資金を得るため、テニスクリニックを開催したり、エキシビションマッチをプレーすることもあります。加えて、日本のテニスリーグの賞金はITFやチャレンジャーツアーより高額なんです。もちろん、経費がかなり抑えられるという点もありますが。

UBI Tennis:多くの選手が年齢を重ねても競技を続けるようになってきましたが、あなたは43歳で今も競技を続けています。そのモチベーションは何ですか?どうやって身体能力を維持しているのでしょう?

松井:僕にとって、モチベーションや身体能力を維持するのは、問題になったことはありません。もちろん、人生の中でローラーコースターに乗っているような気分になる時もありますが、そういう状況は、調子の浮き沈みに対処する方法を教えてくれるんです。精神的にも肉体的にも、僕なりの前に進むための方法があります。永遠に競技を続けられるわけではない、というのははっきり理解しています。自分のスタミナをこうやって犠牲にし続けたいか、半年ごとに自分と向き合って予測するのが重要です。

僕のスケジュールでは、通常1週間に6日をトレーニングに当てています。ジムでのエクササイズ(ウエイトリフティング)を含めてインドアで3時間。それから、坂道や公園など、自然を感じられる野外を走ります。車いすテニス世界王者でパラリンピック金メダリストの国枝慎吾(日本)さんと同じテニスコートで練習しています。その他に、定期的にマッサージや鍼治療に通っています。鍼治療は選手だけじゃなく、すべての人にお勧めしたいですね。

(後編に続く)

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は2020年「ATPカップ」での松井
(Photo by James Worsfold/Getty Images)

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