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傷心のメドベージェフ「少年は大きな夢を見ることをやめた」

写真は「全豪オープン」でのメドベージェフ

「全豪オープン」決勝でラファエル・ナダル(スペイン)に敗れたダニール・メドベージェフ(ロシア)の試合後の記者会見は異例のものとなった。記者からの質問の前に、自身のテニスのキャリアを振り返りつつ「少年は大きな夢を見ることをやめた」と語ったメドベージェフ。全豪史上2番目に長い決勝戦となった試合は、互いに死力を尽くした大接戦だった。何が彼から失意のコメントを引き出したのか。豪スポーツメディア Wide World of Sportsほか複数メディアが伝えている。

会見の司会者は、まずメドベージェフに今回の決勝でこうすればよかったと思うところはあるか、そしてコーチと決勝の話をしたか、と尋ねた。「ちょっとは話したよ」と答えたメドベージェフだったが、その後別の話を始めた。

「今日は、ちょっと新しい記者会見になると思う。長くなるか短くなるか分からないけれど、短くなるよう努めるよ。テニスで大きなことを成し遂げたいと夢見た少年のことから話そうと思う」

「僕がラケットを手に取ったのは6歳の頃だった。時が経つのは早いね。12歳の頃にはロシアの大会に出始めて、もちろんテレビでグランドスラムを見てた。スター選手がプレーして、観客が応援して。その場に行きたいと夢を見た」

「ジュニアでは、ジュニアグランドスラムが大きな部分を占めると思う。プロ選手を見られる場所だからね。“全米オープン”では同じレストランで食事したりする、そういう小さなことさ。知らない人でも応援してくれたりする。ジュニアを応援してくれる人がいるんだ。素晴らしい時間だったよ。そういう瞬間に、すごいな、僕もグランドスラムに出場して、世界最高の選手たちとプレーしたいと思った」

「でも、多くのフューチャーズ大会やチャレンジャー大会に出て、上へ上へと行こうとする。大きな大会に出場できるようになる。キャリアの中で、大きな夢を見続けていいのか、と僕の中の少年が疑問に思うような瞬間が出てきた」

メドベージェフはやがてトップ10まであと一歩というところまでランキングを上げていく。だが、若い世代の中でも2番目、3番目の実力を持つであろう自分に対するファンや記者の扱いに苛立ちを覚えることが何度かあったようだ。

「この少年が夢見ることをやめるきっかけになった幾つかの出来事について話したかったんだ。今日はその1つだった。詳しい理由は言いたくないけど、これからは僕自身のため、家族のため、家族を養うため、僕を信じてくれる人のため、それからもちろんすべてのロシア人のためにプレーすることにする。ロシアでは沢山の人が応援してくれていると感じるよ」

「こうも言えるかな。もし“全仏オープン”や“ウィンブルドン”の前に、モスクワでハードコートの大会があったら、“ウィンブルドン”や“全仏オープン”のような大会に出られなくても出場したい。少年は夢を見るのをやめて、自分のためにプレーすることにした。それだけ。それが僕の物語だ。聞いてくれてありがとう」

メドベージェフは、ナダルに対し2セット先取したものの、その後ナダルの粘りのプレーの前に屈した。試合の間ずっと、観客はナダル贔屓だった。観客の声援を得られなかったことがメドベージェフの失意の原因となったのかもしれない。第4セットの第3ゲームで、ナダルにブレークされた後でベンチに戻る際、メドベージェフは皮肉を込めて観客に向けて親指を立てる仕草をした。

メドベージェフはほとほとうんざりしていたようで、観客を静かにさせるように主審に頼む場面が何度か見られた。「頼むよ、グランドスラムの決勝なんだ。“プリーズ”じゃ不十分だ。彼らはバカなんだ。バカに“プリーズ”は効かないよ」

その発言を受け、第5セットが始まってすぐ、主審は観客に対して、ファーストサーブとセカンドサーブの間に叫んだ者は退場させると注意した。

記者会見では、観客への不満をはっきりとは口にしなかったが、次のように語った。

「例を挙げようか。第5セットでラファがサーブする時、誰かが“カモン、ダニール!”って叫んだ。すると大勢の人がシーッ、シーッって言うんだ。でも僕のサーブの前には、そういうのは聞こえない。すごく残念だ。失礼だし、がっかりだ。30歳を超えてもテニスを続けたいか、ちょっと自信がないよ」

そして、メドベージェフが少年の物語で伝え忘れたことがあると前置きしつつ語ったのは、今もビッグ3が観客に圧倒的人気を誇っているという感覚だった。「トップ20、トップ30くらいに上がってきて、ロジャー・フェデラー(スイス)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、ラファとプレーするようになった。幾つか接戦もあったよ、まだ勝てなかったけどね。今はそんなにない気がするけど、当時は色々言われたことを覚えている。若手はもっと頑張るべきだとか、若い世代に活躍してほしい、強くなってほしいとか」

「やる気が出たよ。よし、(ビッグ3を)手こずらせてやろうって。でも彼らはきっと嘘をついていたのさ。こういう大きな試合でコートに出るたびに、僕に勝ってほしい人はあまりいない感じがするからね」

また、国籍も関係すると思うかと聞かれると、それを肯定。

「国籍も原因の一つかもね。ロシアのテニスはしばらく低迷していたから。僕は本当に努力して、今はロシアのテニスも人気が出てきているとは思うけどね」と語り、アンドレイ・ルブレフ(ロシア)やカレン・ハチャノフ(ロシア)、アスラン・カラツェフ(ロシア)など、実力のある選手が出てきていることに言及した。

「それは素晴らしいことだよ。できれば、もっと多くの人が僕たちを応援してくれるようになればいいけど。でも、他の国の選手と対戦していると、観客はロシア人じゃなくて彼らを応援しているとはっきり分かる」

最後にメドベージェフは、休養明けで練習も不十分な中でグランドスラム21回目の優勝を決めたナダルを賞賛した。

「次に僕が2セット先取されたら、ラファが僕に対してやったみたいにやるんだ、って自分に言い聞かせるよ。僕に勝った彼をすごく尊敬する、だって僕はベストを尽くしたんだから。本当に頑張ったんだ」

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は「全豪オープン」でのメドベージェフ
(Photo by Daniel Pockett/Getty Images)

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WOWOWテニスワールド編集部

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