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友人として、スタッフとしてナダルを支える新しいチームメンバー

写真は「全豪オープン」で練習するナダル(右)

9月下旬、カルロス・モヤ氏は近況を尋ねるためマルク・ロペス(スペイン)に電話をした。スペインのカタルーニャ出身のロペスは、ダブルスで世界ランキング3位だったこともあり、14度の優勝を果たしている。2021年にはプロテクトランキング(怪我などで休んでいた後、休む前のランキングによってエントリーを許されること)を使って12大会に出場したが、望んだほど良い結果は出なかった。8月にロペスは初めて子どもを授かり、徐々に試合から距離を置き始めていた。ロペスはモヤ氏に対して率直に、プレーを続けるかどうかはわからないと答えた。

「君はラファのチームに合うと思ったんだ。もし加わってくれるなら、彼に伝えるよ。彼は大喜びすると思うけど、君にその気がなかったり、世界を旅して回りたくないかもしれないから、まず君に聞いたんだ」とモヤ氏はロペスに言った。

実際、父親になったばかりのロペスは、旅して回らないつもりでいた。「考えさせてくれ」とロペスは返事をした。彼は電話を切り、笑顔でパートナーを見てこう言った。「何を考えることがあるっていうんだ!?」そしてすぐさまモヤ氏に電話をかけ直した。

「もう考えたのかい」と言うモヤ氏に、ロペスはこう話した。「なぜすぐに言わなかったのかわからない。素晴らしい話だし、僕はとても運がいいと感じるよ。機会をくれてありがとう。もちろん、ラファが良ければやりたいよ。」モヤ氏は「最高だ。明日の朝彼に伝えて、君に知らせるよ」と答えた。

次の日、モヤ氏は再びロペスに電話をかけ、彼をチーム・ナダルに迎え入れた。

「全豪オープン」で、ロペスは取材に答え、史上最高の選手の一人と共に乗り出した新たな旅について語った。ATP(男子プロテニス協会)の公式オンラインメディアが伝えている。

Q: (選手としては)完全に引退したのですか?

最後にバルセロナで大会に出たい。僕のクラブでね。まだこれから最終決定しないといけないことだけど、母国で、地元の人々の前で終わりにするというのが僕の考えだ。 

Q: 親友でありながら、コーチングスタッフの一人としてナダルに何をすべきかを言うことに慣れるのは難しくありませんでしたか?

ラファとは多くの瞬間を共有してきたけど、友達としてだ。今は違う。最初は、彼が何を好むのかをある意味観察していた。例えば、彼がコートにいる時に周りの人たちがたくさん話すのを好きかどうかとかね。僕はいつも、外側からは改善できることが見えると言うんだけど、完璧に近い選手に指示を出すのはちょっと難しいと思った。ラファのことはすごくよく知っている。彼の試合を長年見てきたし、プレー中に何を考えているかもわかる。彼には最高のものを手にして欲しいから、色んなことを言わなきゃいけないと感じる。

Q: コーチとしての自分をどのように定義しますか?

対戦相手をよく知らない場合、僕は何よりも彼らをじっくり見て分析するのが大好きだ。シングルスの試合に出ていた頃からはしばらく経つけど、僕には長年の経験があって、選手たちのほとんどを知っている。今回の場合、ラファは自分自身に集中して、自分の強みを伸ばすことに力を注いでいるというのも事実だ。彼が色んなことをうまくやれば、対戦相手が何をするかについてはあまり心配していない。これほどの良い選手が明確なプレー方法を持っている場合、周りが言えることはほとんどない。今は中くらいの対戦相手について話しているんだよ、トップ10の選手じゃなくてね。

Q: 初め、どのようにチームに馴染んだのですか?

チームが大好きだよ。毎日、朝起きて出かけて朝食を食べると…みんな本当に気持ちのいい人なんだ。今のところ、夢のような仕事だよ。チームのみんなとも、彼のお父さんともすごくうまくいっている。それに、カルロス・モヤとフランシス・ロイグ(スペイン)と同じグループで働くのは、こうしてキャリアの新しい段階に入った僕にとっていいことだと思う。彼らは長年これを続けていて、僕は少し前から始めたばかりだ。だから、学びながら自分にできる範囲で力になれることをとても嬉しく思っている。

Q: キャリアの中でナダルに何度も助けられたとよく仰っていました。特に印象的なエピソードはありますか?

彼が助けてくれた大切な瞬間は、2009年のことだ。一緒にダブルスをプレーし始めた時だよ。2008年シーズンが終わった時、僕はキャリアの難しい時期にあった。やめることを考えていたんだ。2004年に惜しいところまでいった後、シングルスで100位以内に入る望みを完全に失ってしまっていた。どうしたらいいのかわからなかった。そんな時に、ドーハでラファとダブルスをプレーする機会が巡って来たんだ。

トメウ(バルトロメ・サルバ ビダル、スペイン)がちょうど引退した後で、ナダルが僕に機会をくれた。その時、自分はダブルスがうまいって気づいたんだ。ラファと組んでいると、全てがすごく簡単だけど、僕らは途中で世界1位のペアを破って、大会で優勝した。それからは、一緒にプレーしていない時でもラファはいつも僕の成績を見ていてくれて、大事な試合の前には僕を助けてアドバイスをくれた。フェリ(フェリシアーノ・ロペス、スペイン)と一緒に出場した“全仏オープン”の決勝の時みたいにね(2016年、優勝)」

Q: 一番いい思い出は何ですか?

オリンピック(2016年、リオデジャネイロ)の金メダルだね。また彼と組んでいた。ラファはシングルスとダブルス両方に出場するためにとてつもない努力をして、僕を信頼してくれた。あの経験はすごく良かったよ、コート上でだけじゃなくね。僕らは同じ部屋に泊まっていた。テニス選手は全員一つのアパートにいたんだ。小さいベッドが2つある部屋にラファと一緒に泊まった。部屋の真ん中に小さいテーブルを置いて、そこにiPadを立てて毎晩眠る前に何か観たんだ。本当に素晴らしかったよ。張り詰めた2週間が、金メダル獲得で完璧な形で終わった。

Q: あなたの前向きな性格がチームに何かをもたらすと思いますか?

両方の面がとても重要だ。テニスの面だけじゃなくてね。僕は彼がどんなプレーをするのかよく知っているけど、コートを出れば彼は一人の個人で、自分なりの考えや疑念がある。彼に近しい人物がいるということはすごく重要だ。僕の役割は、できるだけ彼に手を貸すよう努めることだ。コート上では、僕は自分の考え方を変えて、僕に見えているものを彼に伝える。コート外では、僕らはこれまでと同じ関係だ。周りの環境は彼にとってすごく重要だ。僕は彼の親友の一人で、僕らは冗談を言い合って楽しく過ごす。彼がいつでも心地良くいられるということが大事だ。

Q: あなたは父親になったばかりですが、2つを両立するのは難しいですか?

最初はね。始めてから14週間経った。きついよ、この仕事の最悪の部分だ。テクノロジーが大いに役立つのは幸運なことだ。FaceTimeの他に、僕の携帯電話にはいつでもベビーベッドを見られるアプリが入れてあるんだ。僕が世界の反対側にいる時でも見られる。これは辛い部分だけど、ラファと一緒にいて彼がうまくやれるようにするためなら、その価値はあるよ。

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は「全豪オープン」で練習するナダル
(Photo by Andy Cheung/Getty Images)

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