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「一度だけでもいい」。準々決勝敗退のモンフィスが四大大会優勝への思いを語る

写真は「全豪オープン」でのモンフィス

深夜に及んだ3時間49分の熱闘の末に、第17シードのガエル・モンフィス(フランス)が力尽きた。4回戦までは1セットも失わずに勝ち上がったが、準々決勝で第7シードのマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)にフルセットで敗れた。

第3セット序盤までの情勢を見れば、ストレート負けもありうると思われた。しかし、モンフィスはただでは終わらなかった。第3セット第3ゲームで3度のブレークポイントをしのぎ、踏みとどまる。さらに3-2からの第6ゲームで初めてブレークに成功。2セットを連取して最終セットに持ち込んだ。

モンフィスの集中力、1ポイントへの執念と、ミスを恐れず攻める勇気が試合を白熱させた。しかし、勝利の女神は気まぐれだ。最終セット冒頭のサービスゲーム、30-0と快調に滑り出しながら、2本のミスをきっかけにブレークを許した。2時間近く続いた「ゾーン」状態に終わりを告げる、痛恨のブレークとなった。

試合後の記者会見で、最終セットに勢いを失ったことについて、モンフィスに司会者がコメントを求めた。

「それがまさに僕が自分自身に問いかけている質問なんだ。勢いを保つには、僕の力がまだ十分戻っていなかったのだろう。僕はずっと苦しんできた。残念だけど、もう少し苦しまなくてはならない」

苦しんできた、というのは、グランドスラム優勝を目指し、それが果たせていないことを指すと思われる。なかでも、コロナ禍の2年間は成績が出なかった。前哨戦のアデレード1でモンフィスはこう語っている。

「僕にとってパンデミックが大ブレーキになった。それが起きる前は最高のテニスができていたのに、そこから本当に苦しんだ」

もっとも悔やまれるのは20年シーズンだ。序盤にモンペリエ、ロッテルダムの2大会に優勝しながら、3月からコロナ禍でツアーが中断、9月のツアー再開からシーズン終了まで、出場した4大会すべて1回戦負けに終わった。

「ストレスだった。アドレナリンが出なかったんだ」と言うように、観客のいない会場で試合をするのが苦痛だったようだ。昨年は通算成績18勝17敗。全豪は1回戦敗退、全仏、ウィンブルドンとも2回戦止まり、北米シリーズで少し勝ち星を増やしたが、それでも全米は3回戦敗退だった。20年シーズンは10位でスタートしたランキングも、じわじわ下降し、今は20位だ。

それでも昨年の後半戦から徐々に調子を戻し、今年1月のアデレード1で約2年ぶりのツアー優勝を飾った。インタビューでは、ともにコロナ禍と闘った妻、テニスプレーヤーのエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)に感謝した。

「(コロナ下のツアーに)適応するには他の人よりもかなり時間がかかった。パンデミックの打撃は大きく、私生活にも影響があった。ただただ大変だった。僕はただ自分と闘った。家族がとても助けてくれたよ。特に妻の存在が大きかった。それで僕は再び軌道に乗ることができたんだ」

16年全米以来のグランドスラム4強入りは逃したが、全豪は希望がふくらむ大会になったことだろう。最初に記した「残念だけど、もう少し苦しまなくてはならない」というコメントには続きがある。

「こういう状況(グランドスラム優勝に挑む機会)が僕にはあと数年残されている。一度くらいは、もっとうまくできればいいのだけれど」

35歳のモンフィスだが、グランドスラムでの優勝をあきらめていない。

「ここ2回のグランドスラムでトップ10に挑む機会がありながら、生かせなかった。僕はそこから学び続けている。タフな状況でも、僕は信念を失わない。一度だけでいい、20回優勝しなくていい、1回でいいんだ。そのために僕は努力している。できると信じている。20年うまくいってないけれど、今年、すべてが噛み合うかもしれない。一度くらいは成功するかもしれない。それが僕の信念だ」

まだ力が足りない、もっと努力しなければ、そう思わせてくれたことも、この大会で手にした収穫だ。モンフィスは言う。「ポジティブなエネルギーを母国に持ち帰ろうと思う」。

(秋山英宏 )

※写真は「全豪オープン」でのモンフィス

(Photo by Mackenzie Sweetnam/Getty Images)

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秋山英宏

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1961年生まれ。大学卒業後、フリーランスライターとしてスポーツ、レジャー分野を中心に雑誌、新聞で執筆活動を行なう。1987年からテニスの取材を開始し、グランドスラムをはじめ、国内外の主要トーナメントを取材。テニス専門誌に多くの観戦レポート、インタビュー記事などを執筆している。現在、日本テニス協会広報委員会副委員長を務め、同協会の出版物やメールマガジンなどにも寄稿している。

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