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大坂なおみ初戦 現地リポート 20歳の新鋭を破り連勝記録を更新

写真は「全豪オープン」での大坂

オーストラリアの英雄、ロッド・レーバーの名を冠するセンターコートに向かう通路には、歴代の大会優勝者たちの名が、誇らしげに光を放つ。
栄光の歴史をたどるようにコートへと向かう彼女が、最後に目にするのは、自身の名。
“ディフェンディング・チャンピオン”大坂なおみの全豪オープンが、一年前にトロフィーを掲げた思い出の地で、幕を開けた。

昨年夏の全米オープン3回戦の敗戦の後、涙ながらに「しばらくテニスから離れる」と告げた大坂の復帰戦は、2週間前のメルボルンだった。
全豪オープンに先立ち、同会場で行われたWTA250大会がその舞台。その前哨戦で大坂は、準決勝で棄権するも、3つの勝利を手にしている。
その大会と同じ会場ではあるものの、「グランドスラムの雰囲気は別格」だと彼女は言った。

対戦相手が背負う緊張感。
煽情的なオンコートアナウンス。

それら全豪オープン特有の空気感が、「試合が何より好き」という彼女の心を高ぶらせる。コロナ対策もあり満席とはいかないが、客席から沸き立つ熱気も、まちがいなくグランドスラム特有のそれだ。

その思い出のコートで大坂が対戦したのは、これが全豪オープンデビューとなるカミラ・オソリオ。昨年の今頃は186位だったランキングを、50位まで駆け上がってきた20歳の新鋭である。
初戦でディフェンディング・チャンピオンに当たるドローを引いたオソリオに、周囲は「厳しいね」と声をかけた。
だが当の本人は、「アメイジング!ドローを見た時、とても嬉しかった」と明かす。実はオソリオは、大会数週間前に新型コロナに感染し、今大会の出場も疑わしかったという。それだけに、デビュー戦でロッド・レーバー・アリーナに立てることが、彼女は、ただただ嬉しかった。

そのオソリオの高揚感を、誰より理解していたのは、恐らくは大坂だ。

「わたしもかつて、彼女と同じような立場だったから良くわかる。(ビクトリア・)アザレンカと対戦した時の自分がそうだった。恐れを知らず、全てを出し切ろうと思っていた」

初々しいオソリオの姿は、ロッド・レーバー・アリーナで元女王に立ち向かった、18歳の自分を彷彿させたという。

だからこそ大坂は、相手に対する先入観を、捨てた。
未知なる新鋭との初対戦を控え、大坂のコーチのウィム・フィセッテは、「多くの動画やデータをなおみに提供した」と言う。
もちろん大坂は、それらは「ありがたかった」と認めた。ただ同時に、「鵜呑みにしないように気を付けた」とも言う。初めてセンターコートに立ち、上位選手に立ち向かう若手がどのようなプレーをするかを、彼女は良く知っていからだ。

実際に試合序盤のオソリオは、いつもと異なるプレーに終始しただろう。

本来なら、豊富な手持ちカードを駆使する戦略家が、強打に頼る。その結果ミスが増えたのは、攻め急いだか、それとも単純に大坂のパワーとスピードについていけなかったためか。いずれにしても大坂は、「いつもと異なる」プレーの挑戦者から、5ゲームを連取した。 

一方的な流れの変化は、ほほえましい一つのプレーが起点にある。相手が放ったややフレームショット気味のロブを、大坂はスマッシュしそこねた。

この時の大坂は、照れたように笑みをこぼす。ただ、試合を楽しむこの大坂のメンタリティが、相手の心をもほぐしたようだ。スライスも効果的に用いて緩急をつけ始めたオソリオが、3ゲーム連取で追い上げると、続くゲームでもブレークポイントを手にした。

ただこの場面で、大坂は冷静に立て直す。相手がリターンポジションを上げてきたと見るや、セカンドサーブを深く打ち込みサービスウイナーを奪ってみせた。
スライスには自らも、スライスでしつこく対応する。このあたりは、フィセッテがコーチに就任した2年前から、一貫して取り組んできた練習の賜物だ。

相手が自分のプレーに徹すれば、今度は事前に目に焼き付けてきた、相手のプレー動画が参考になる。

オソリオの追い上げを振り切り第1セットを取った大坂が、第2セットは四つに組んだ展開で押し込んでいく。終わってみれば、スコアは6-3,6-3。経験と地力に勝る大坂が、前年から続くメルボルンでの連勝を、14に伸ばした。

初戦の勝利は今の大坂にとって、次に向けて何かを学ぶ場だという。
ディフェンディング・チャンピオンは、自身の名が二つ刻まれる道を歩き、次なる高みへと向かう。

(内田暁)

※写真は「全豪オープン」での大坂
(Photo by Quinn Rooney/Getty Images)

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