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出場者確定!全豪オープンジュニア前哨戦のワイルドカード選手権「オーストラリアで暴れてきます」【テニス】

住友ゴム工業(株)と日本テニス協会共催の「全豪オープンジュニアシリーズ」トララルゴン国際ワイルドカード選手権(「DUNLOP ROAD TO THE AUSTRALIAN OPEN JUNIOR SERIES IN YOKKAICHI」)が今年も三重県四日市にて開催された。テニスデイリーでは11月より本大会の優勝選手を取材、トララルゴンジュニア国際までの道のりを全3回にわたって連載する。第1回目となる今回は、若い選手たちが栄光の舞台を目指して熱戦を繰り広げた本大会決勝戦の様子、そして主催側の想いを伝える。

11月11日から14日にかけて行われたこの大会は今回で4回目。2017年にダンロップブランドのグローバルでの商標権を取得した住友ゴム工業は、ジュニア育成への投資を事業の柱の一つとして打ち立て、優勝者には「全豪オープン」ジュニア本戦のワイルドカード(主催者推薦枠)を与えたり、錦織圭選手(日本/日清食品)も留学していたことで知られるIMGアカデミーや、欧州最大級のムラトグルーテニスアカデミーなどへのジュニアキャンプへ招待したりと、才能ある選手たちに世界へ羽ばたく機会をもたらしてきた。

そうした試みは、少しずつだが着実に実を結んでいる。2019年大会の優勝者である松田絵理香選手は、今年7月に行われた「ウィンブルドン」ジュニアのシングルス、ダブルスに出場。そして2018年・2019年大会の優勝者であるコールマン・ウォン選手(香港)は、今年9月の「全米オープン」ジュニアのダブルスで見事優勝を果たした。
松田選手は自己最高ランキング50位、コールマン選手は16位まで上り詰め、今では四大大会の常連として世界のトップを目指し挑戦し続けている。

IMG-3532.jpg↑2019年大会で優勝した松田絵理香選手


DSC_0846_960x640.jpg↑2018年・2019年大会で優勝したコールマン・ウォン選手(香港)

成果が出ていることについて、大会ディレクターの中西伊知郎氏は「これをステップアップにしてジュニアで経験を積み、ITFなどより上の年代の大会へと進んでいってくれているんじゃないかと思いますね」と語る。今回の大会に出場している選手たちに対しても、「一般の大学生や社会人と球のスピードは変わらないと思います。さらに前進するためにも、早く海外に行って経験を積んでもらえれば」と期待を寄せた。

IMG_9481_サブ1_中西ディレクター第1候補_960x640.jpg↑大会ディレクターの住友ゴム工業(株)テニスビジネス部 中西伊知郎氏
2013~2021年まで日本テニス協会の常務理事を務め、全日本選手権を始め数多くの大会の大会ディレクターを歴任した

本来は日本国内に限らず国外の選手も参加するグローバルな大会だが、新型コロナウイルスの影響で今大会の出場者は国内選手に限定し、無観客での開催となった。厳しい感染対策を採るなど様々な苦労もあったが、それでも実施できたことには大きな意義があると中西氏は言う。

木下晴結.jpg↑女子の部で優勝を果たした木下晴結(きのしたはゆ) 選手

今大会の開催を選手たちも歓迎している。5試合すべてストレート勝利で優勝を果たした木下晴結選手(枚方市立第四中学校)は、「本当に私たち選手にとってありがたいですし、こういう試合をする機会が去年はあまりなかったので嬉しいですね」とコメント。プレーが多彩な世界女王のアシュリー・バーティ選手(オーストラリア)に憧れているという木下選手は、「プロになって、グランドスラムという大きな舞台に立って勝ち進みたいです」という夢も語ってくれた。

原崎朝陽.jpg↑男子の部で優勝を果たした原﨑朝陽(はらざきあさひ)選手

木下選手と同じく、5試合すべてで1セットも落とすことなく優勝した原﨑朝陽選手(ノア・テニスアカデミー神戸垂水)は、「手首を怪我したことで自信を失っていましたが、この大会で自信を取り戻すことができました」と話す。また、デビスカップや五輪で代表監督を歴任した植田実氏と大会中に言葉を交わす機会があり、テニスの戦い方、心構えについてアドバイスをもらえたことが決勝でも役に立ったと打ち明ける。表彰式で「オーストラリアで暴れてきます」と宣言して会場を沸かせた原﨑選手の夢は、グランドスラム優勝。「年を言い訳にせず、誰を相手にしても勝っていこうと思います」と力強く語っている。


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なお、この大会で使われていたのは、ダンロップオーストラリアンオープンという「全豪オープン」の公式球。ダンロップのボールは、グランドスラムをはじめ、現在開催中の世界トップ8選手たちが出場するシーズン最終戦「Nitto ATPファイナルズ」などATPツアー大会にて使用率4割超と、ATPツアーで最も多く採用されている。そういうトップレベルでも使われる球を使って試合ができたことも、若い選手たちにとっては今後へつながるだろう。

優勝者2名.jpg

ちなみに、会場となった四日市テニスセンターは、過去ATPチャレンジャー大会を実施するほど国内有数のテニス専用会場だが、1970年に大阪万博が開かれた際にはオーストラリア館があった場所でもある。そんなオーストラリアと縁のある地で「全豪オープン」行きを懸けて戦った選手たちの今後、そしてそれをしっかりと支えるダンロップの試みに引き続き注目していきたい。

本大会の模様は11月22日(月)と11月23日(火・祝)の2回にかけて、WOWOWライブにて放送の『週刊テニスNAVI』番組内でもお伝えする。世界での活躍を待ち望む若い選手たちの勇姿をぜひ映像でも楽しんでもらいたい。

【放送&配信日時】
11月22日(月)よる8:40 [WOWOWライブ] ※初回
11月23日(火・祝)午前11:40 [WOWOWライブ]

次なる連載2回目・3回目でも、トララルゴンジュニア国際への切符を手にした2人の選手に密着。大会までの道のりを毎月細かくお伝えする予定なので、お楽しみに。

(テニスデイリー編集部)

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